【新規就農】農薬不使用はそんなに悪か(指導員との食い違い)

2021年11月14日

新規就農1年目。市役所の農業指導員がときどき通りかかって、いろいろと指導してきます。

この指導員はもちろん慣行農業を前提にしていて、「農薬を使わないのは農業じゃない」と前から事あるごとにおっしゃっています。「100円のキャベツを1日に100個売りなさい」というスタイルの指導をされる方です。

就農したばかりの私は、大きなトラクターを使い、農薬・化学肥料を使ってキャベツを1日に100個売るなんてスタイルは現実的ではないので、手間暇をかけて有機・自然栽培で少量多品種を作るというスタイルをとっています。もちろん、農薬や化学肥料が好きではないというのもありますが、だからといって、慣行農業を否定するものではありません。というか、慣行農業は社会にとって絶対に必要なものだと考えています。慣行農業か、有機栽培か、どっちが正か悪かなんてそんなものではなく、どちらも需要があるから成り立っていると思います。

この指導員は、農薬を使わない私のことを快く思っていないということは前から分かっていて、いつも後味悪い思いをするので、来られるたびにそれとなく話しを合わせてやり過ごしていました。

例えば、この畑を借りて間もない頃に「土がガチガチで痩せているので、微生物資材を入れました」と言ったら「そんなことはしなくていい」と言われたり、この前は「あの里芋は石川早生でもうすぐ収穫です、すごく美味しいんです」と言ったら「早生の里芋なんてぜんぜん美味しくない」とバッサリ切られたり・・・たぶん、単に私を気に入らないだけで、私が白だと言えば黒だと言い、黒だと言えば白だと言われるんだろうなと・・・そんな感じの人なので、私もあまりストレスに感じないようにサラッと流すようにしていました。

この指導員に、今日、以下のように言われました。

「あのな、有機農業は宗教です。ネットに書かれている農薬が危ないということを信じ込んでる浅はかな人たちの集まり。あれは農業じゃない。」

「農薬の安全性はしっかり確認されている。ラウンドアップが危ないという人がいるが、無知としかいいようがない。ネオニコだって、ハチを殺す農薬なだけで危ないことはなんにもない。ネットに危ないとか書いている人がいるが、あっさいあっさい知識しか持っていない。科学的に問題ないと証明されているのに、何が危険なものか。あなたも信じてるのか、浅はかな人は洗脳されやすいからな」

「持続可能な農業なんていうのは一過性のブームに過ぎない、そんなことも分からないのか。肥料の資源が枯渇するなんてことはあり得ない」

「固定種の野菜が美味しいなんて言う人は、舌がバカやねん」(あなたもその一人というニュアンスで)

なんでこんな話しになったかというと、私が今育苗しているカリフラワーの「野崎早生」とキャベツの「富士早生」が本葉が出だしたくらいで冬を迎えてしまうけれども大丈夫でしょうか?という質問をしたところから始まりました。

どちらも割と有名な品種だと思うのですが、どこの種苗会社?と聞かれたので、エバーノートにスキャンしていた種袋を見せて「固定種なんですけど・・・」と言ったら「なんでそんなのを使っているのか、F1を使わないと話しになりませんよ」ということでヒートアップされました。

ちなみに、この人の前で農薬は危ないなんて一言も言ってないし、ラウンドアップやネオニコの単語も全く出していないし、固定種でもF1でも、それぞれ美味しいもの、あんまり美味しくないものがあるということを知っているので、固定種だから美味しいなんて話も全くしていません。

「慣行農業は力持ちじゃない私には合わず、一方で無農薬の野菜の需要が高まって来ているので、それに合わせた農業をしようとしているだけです」と言っても、「宗教を信じるバカ」と完全否定されました。

そして、これまで我慢してましたが、バカ呼ばわりされた私はさすがにブチギレました。

「有機農業が宗教だなんて、私のことを浅はかな信者だと言いたいんですか?有機農業している他の農家さんすべてに対しても同じように思っているんですか?あまりに失礼じゃないですか!」

「私は農薬を否定してませんよ、むしろ社会に絶対必要だと言っているのに聞こえませんでしたか」

「私は科学者じゃないから農薬が安全か危険かについては何が正しいかわかりません、ただ、危険だと考える人がいて、農薬不使用の野菜の需要があるから、そういう人向けにビジネスをしたいと考えているだけです、いけませんか?」

「例えば大阪では○○○カブのような固定種を大事に育てている人もいますが、そういう人も信者扱いするんですか」

「固定種が美味しいだとか、味の話しは一言もしてませんよ、論点がずれてます。勝手に味の話しを持ち出してきたうえに、味なんて好みもあるのに、自分の舌が絶対に正しいなんてどうして言い切れますか、自分で思うだけならいいですけど、他者を侮辱するのはおかしいです」

「慣行農業か、有機農業か、どっちが正しいかなんて考えはそもそも不毛な議論です。それぞれメリデメあって、お互いを完全否定するものではないですよね」

「持続可能な農業というのは世界の潮流だと私は思いますけど、そう考えることがバカなんですか?」

「っていうか、市役所の人が、人に向かって浅はかだとか、宗教を信じるバカだなんて言っていいんですか!」

こちらが一言いうたびに、20倍くらいにして完全否定の言葉が返ってきます。その内容は、ここでは書かない方がいいと思うので書かないでおきます。

これは時間の無駄だと思ったので、全否定されっぱなしでしたが「分かりました」と言って、話しを終わらせようとしました。その顔は分かってないようですけど、まあいいでしょう、みたいな感じで言われてとりあえず終わりました。

「丹波黒大豆のエダマメは食べましたか?」と指をさして言われたので、「エダマメとして少し食べて、後は黒豆として収穫するつもりです」と答えたら、「エダマメで食べたら最高に美味かったのに、なぜ収穫しなかったのか」とまた非難され、私は黒豆で採りたいから置いてるのにどこまで否定すんねん、と心の中でツッコミを入れました。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、みたいな感じでしょうか。

丹波黒大豆はこれです↓そして・・・

「丹波黒大豆。これって固定種ですけど、美味しいと今おっしゃいましたよね?ほら、固定種でも美味しいものがあるとご自分で認めたじゃないですか」と言いました。

いや、これはところどころで改良されているはずで純粋な固定種ではないんじゃないか、むにゃむにゃ・・・と濁されました。なんじゃそりゃ。

「もう一度いいますけど、市役所の農業指導員が、有機農業を宗教を信じるバカなんて言わないでくださいね」と言ったら、驚いたことに、「宗教?そんなこと言ってませんよ?」と言われました。

さすがに「うっそー!!」と大きな驚きの声を上げ「何回も何回も言ったじゃないですか、なかったことにするんですか?ビックリです!」とちょっと呆れてしまいました。

そうすると「もし言ってしまってたら、すみませんでしたね、ただ、しょせん素人さんやな、というところです」と言われました。

こんなこと・・・指導者が、プロとして頑張っていこうとしている人に対していう言葉ですか・・・?

この最後に言われた言葉が一番悔しかった。この悔しさは絶対に覚えておこうと思います。


私もかなり生意気なことを言ってます・・・。指導員に対してなんて偉そうにするんだというお叱りはごもっともです。これまで溜まり溜まったものが爆発してしまいました・・・スミマセン。

新しく農地を借りる時、絶対にこの人を通すことになるんですけど、今後借りることができるだろうかという不安がありますが、バカ呼ばわりされて黙っていることはできませんでした。長時間、畑で言い合ってて周りの農家さん、ドン引きしてたかも。

ちなみに、有機農業も、雑草だらけにして周りの農家さんに迷惑をかけていれば罵倒されても仕方ないと思いますが、周りの農家さんとの仲は良好だと思います。また、新規就農の補助金をもらっていたりする場合もやはり指導員の言うことに従う必要はあるのかなと思いますが、私は一切補助金をもらっていません。

物事に対して、白か黒か、ゼロかイチか、正か悪か、なんて分けることはできない、何が正しいかなんて、時代によっても変わってきます。自然栽培をやりたいなんて、一昔前だったらもっとバカにされたかもしれませんが、環境保護、持続可能性、自然の枯渇などに直面している今、そんなに100%否定されるものではないと思うんですけど、農薬を使わないことがこんなにも憎まれるとは・・・。

でも、この指導員、「遺伝子組み換え」と「ゲノム編集」の違いも知らなかったんです。説明してあげたら、「いっしょやん」って言われました。はっきり言って、こんな基礎知識すら知らない人に何を言われても何の説得力もない。自分が正しいと思うこと以外は受け入れないタイプなのだと思いますが、人を罵倒するならば、自分が正しいと思うこと以外のことも幅広く勉強してからにしてほしいと思います。

夫に一連のことを話すと、「そりゃ向こうは農地の有効利用とか、食料をしっかり作らせるとか、農家の独り立ちとか考えて指導してるから、言わんとすることはわからんでもないな。しっかり稼いで見返してやれ」と言ってました。私もちょっとヒートアップしてしまって言い過ぎたところはあるので、反省してまた頑張ろうと思います。

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