【超便利】草の管理の話と「手押し耕運機」が大活躍な話

新規就農して3年目。ヨレヨレですが、何とか農業続けています。

2年を経て、農業でしんどいことは?と聞かれたら、「まずお酒持ってきて」と答えるでしょう。そして一晩かけて、売り先を見つけるのが大変、水の管理が難しい、何かとお金がかかる、日々勉強し続けないといけない、夏が暑すぎる、あと、このブログには書けないようなこと等も延々と語ると思います。(何気に最後のが大きい。)

このように、農業でしんどいことは山のようにありますが、多くの農家さんがしんどいことの上位に上げるのが「雑草の管理が大変」ではないでしょうか。

雑草と共存?

環境や人間に配慮した農業として、「有機農業」「自然栽培」「環境再生型農業(リジェネラティブ農業)」「協生農業」「sofix農業」・・・といろいろあります。

こういった農業では、基本的に、雑草を敵とせず、共存しましょうという考えがあるかと思います。例えば、雑草を生やすことで畑の生態系を豊かにすることで特定の害虫を増やさない、雑草の根が微生物を増やし、土を耕してくれる、などです。

下は、タイのバンコク郊外にあるオーガニック農園で研修させてもらった時の写真です。

アングルが悪く分かりにくくて恐縮ですが、雑草と共存するニンジン畑の写真です。雑草はわざと生やしているとおっしゃっていました。まだ農業の勉強を始めてそんなに経っていなかったので、目から鱗だったのをよく覚えています。

ただし、「ニンジンがまだ小さいうちは雑草はしっかり抜きます」とおっしゃっていたのもよく覚えています。また、「あくまでニンジンが主役なので、それ以上に雑草を伸ばしてはいけません」ということも。そうしないとニンジンが雑草に負けてしまうから、とのことでした。つまり、決して雑草を放任しているのではなく、きちんと管理された雑草ということなのだそうです。

だから、雑草は生えていても、管理された感じ、整然とした感じがあり、全体的にみて「美しい畑の光景」を作り出していました。

現実は・・・

私も、目指したいのはこの「管理された雑草」ですが、草の生えるスピードは相当でして、油断すればすぐボーボーになってしまいます。

草刈りが大変なのは夏というイメージがありますが、3回の夏を経験した私の感覚からすると、35度を超える猛暑の時期は意外と雑草もそんなに伸びてこないような気がします。大変なのは梅雨明け前と9月頃、つまり、”そこそこ暑い時”です。

下の写真は自走式草刈機で一気に刈った後の写真です。こうやって草刈機をかけても、9月頃だと1週間もすればまたエノコログサやメヒシバ、オヒシバ等がピューっと伸びてきて穂をつけます。穂をつける雑草は、種が落ちて嫌がる農家さんが多いですし見た目も悪いので、できるだけ穂をつける前に対処したいところですが、すごい勢いで伸びてきます。

秋の雑草は一株一株が大きくて、その一株の根元を三角ホーで狙って「ガッ」と引き抜けばスッキリ感が出て、割と黙々と作業するとハマる作業ではあります。作業した後の畑を振り返って「キレイになった感」を見てうんうんと自分でうなずき楽しむという、マニアックな趣味も自分の中にはあります。

ですが、何せ伸びてくるスピードが半端なく、汚らしい感じが出してしまいますし、畑に行く目的は野菜を育てるためであって雑草管理のためだけに時間を費やすものではないので、何とかしなければと思っていました。

昨年、自走式草刈機を購入してあぜや法面の除草作業はかなり楽になったものの、例えば畝と畝の間の通路等で、もっと効率的に草の管理ができないかな・・・

そう思っていたところ、いいものを見つけました!

「手押し耕運機」を衝動買い

インスタグラムで、たまたま見かけました。「これを買って今年は除草に悩まされずに済んでます!」「すごくいい!」「数台購入して畑ごとに置いてる」という投稿。何かというと【手押し耕運機】です。

タイヤ付きでスイスイ転がすだけで雑草が取れていくという動画で紹介されていました。その投稿に対して「値段も安いので数台購入して畑ごとに置いて重宝してます!」といった絶賛コメントも多くありました。

普段、テレビショッピングも疑いの目で見てしまう私です。ステマかもと若干の疑いはありましたが・・・衝動買いをしてしまいました。こちらです↓

6000円くらいなので、もし全然使い物にならなかったとしてもまぁいいかと覚悟して。

・・・数日後、届き、開封し、そして、秒で後悔しました。

輸入物ということで、全体的に作りが雑、取説も入っていない、タイヤもぺったんこで空気が入ってない。とりあえず、自宅にある空気入れを引っ張り出してきてまずは空気を入れるところからスタートしましたが、これがなかなか入らない。タイヤに穴が空いてるんじゃないのかと夫もサジを投げ、これはもう返品した方がいいかもと思いましたが、返品も面倒だしと1時間ほどあれこれ試していると、なんとか空気が入りました。

とりあえず畑で使ってみようと、畑に持って行って通路部分で試してみると、ネジをきっちり締めているにも関わらず、ハンドルが力を加えるとクルクル回ります。クルクル回ると力を入れられません。これは使い物にならん、6000円、もったいないことしたと思いました。

もう土がついてしまっているので返品もできないだろうし、どうしたものかと思っていたら、工具フェチの夫がスパナを出してきてキツく締め直してくれました。これでハンドルがクルクル回るのはなくなり、ようやくまともに使えるようになりました。この部分です↓

ただ、この接続部分も作りは雑なので、あまりキツく閉めるとそのうちダメになりそうです。

とりあえずこれで使えるようになったので、前述の自走式草刈機で刈った後の畑でこれを通してみようとしましたが、雑草の根が強すぎて刃が全く入って行かず、てんで使い物になりませんでした。

もう一つの畑で使ってみると

ダメ元でもう一つの畑に持っていって、使ってみることにしました。こちらの畑は、いわゆる水田土壌のガチガチの土ではなく、土壌改良された扱いやすい土になっています。

畝と畝の間の通路に通してみたら、こちらでは何とか通すことができましたが、結構な力が必要でした。腕立て伏せしているみたいで、大胸筋が鍛えられそうです。

一度は使った、もういい、あとはオブジェにでもしようと思いましたが、一度通したところをもう一度通してみると、今度は楽に通りました。

そうすると通路の土がこんな感じ↑に柔らかくなったので、これを三角ホーで畝にあげていきました。ちなみに私が愛用している三角ホーは、大きめの24センチ、軽くて強いステンレス製、金象印さんのものです。

ホウキではくように、うね斜面の雑草も掻き取りながらリズムよく土をあげていきます。そうするとこんな感じに。↓

ここまでやると、あれ?これ、もしかして便利?と思うようになってきました。これまでは通路に生える雑草は三角ホーで削り取っていたけれども、手押し耕運機だとタイヤがついている分だけ早いという感じです。

最初に使う時は刃が入りにくいので大変ですが、一度通してしまうと次からは楽に刃が入っていきます。一度通すと雑草の根が切れて、しばらく雑草が生えてきません。通路に米ヌカを巻いた後に使うと、土といい感じに混じってくれます。

あれ?これ、やっぱり便利かも??と段々と自分の中で星の数が上がっていきました。

手押し耕運機まとめ

こんな感じで、最初は返品までしようかと思っていた手押し耕運機ですが、いつの間にか必需品になっています。今年の夏は過酷な暑さでしたが、これがあったのでかなり助かりました。

色んな人にオススメしたい商品ではありますが、やはり作りは雑ですし、土質によっては刃が入っていかないので使い物にならないところもあると思います。また、広い畑では手押しでは限界もあろうと思うので、やはり一輪管理機があった方が楽なんだろうとも思います。

ですが、ガソリンいらずの手軽さ、片手で持てる軽さ、そして値段の安さもこの手押し耕運機の魅力です。アタッチメントとして刃が3種類ついているので、下のような狭いところの除草も楽です。

手押し耕運機と三角ホーの組み合わせ。この夏、私と共に戦ってくれた相棒です。

もし、近くにお住まいの方で【手押し耕運機】を試してみたいという方はお気軽に声をかけてくださいね。

雑草は色んな意味できちんと管理した方がいい

新規就農してまだ数年ですが、常々思うことがあります。それは、周りの農家さんや住民に「めっちゃ見られてる・・・」ということ。

どれくらいの頻度で畑にきてるのか、何を植えてるのか、使っている資材、どんな態度で人と接しているのか・・・、とにかくびっくりするくらい見られてます。話をした時に「わっ!あれ見られてたのか!」と驚きます。これは多くの新規就農者が感じているのではないでしょうか。畑での夫婦喧嘩は小声でするに限りますよね。

逆に、なぜ見るのだろうかと考えてみると、単なる好奇心で見ているのではなく、この人は信頼できる人なのかどうかを見定められているのかなという気がしています。

だから、真面目にコツコツ働いている姿を見せていたらいつの間にか信用してもらえるようになり、困った時にすっと手を差し伸べてくれる。そう確信しています。ありがたくて涙がでたということが新規就農してからこれまでに何度もありました。

周りの農家さんや住民とは絶対に仲良くした方がいい。性格が合わない人と無理やり合わせる必要はありませんが、少なくとも自分からトラブルの種を撒くのは絶対に避けた方がいい。

農業に限らずですが、仕事をする上で周囲の信用を得るというのは非常に重要なことだと思います。

何が言いたいかというと、SNSなどで「周りの農家から草を刈れと言われるけれども自然農なので無視」というような書き込みを時々見かけることについてです。私もキレイにできていないのでなかなか言いにくいところですが、それは良くないよ!少なくともちゃんとしようとしてる態度は見せた方がいいよ!とコメントしたくなります。人それぞれの考えがあるだろうし、私もちゃんと管理できていないという負い目があるので実際にはコメントしませんが・・・。ちゃんとしようとしているけれども結果的にできてないというのは、周りの人も分かってくれますが、注意されても「わざと」ほったらかしはよくないと思います。

資材の高騰や天候不順等で農家はとにかく大変です。国民年金しかないから農業やめたら食べていけないという方もいらっしゃると聞きました。周りから草を刈れと言われて刈る余力はあるのに放置した結果、自分とこの雑草から飛んでいった虫で周囲の農家さんに被害を出してしまうなんてことは絶対にあってはならないと思います。

何より、上手に野菜を育てる人は、畑もきれいです。畑の光景は、街の景色の一つでもあります。穂を出した草がもじゃもじゃになった状態では、ゴミの不法投棄も誘発しますし(経験者は語る)、ヘビやマダニなどの怖い生き物の増殖も懸念されます。除草剤を使わない雑草管理は本当に大変ですが、1年目、2年目、そして今回3年目と少しずつ進歩していっているので、今後も改善しながら管理していきたいと思います。

お知らせ

来たる11月26日(日)に、マルシェをさせてもらうことになりました。どんな野菜を育てているかなど、インスタグラムの方でも投稿していますので、よろしければご覧になってください。マルシェの詳細は、ホームページの方に投稿予定です。

https://www.instagram.com/narinari_farm/

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