購入した農地、少しずつ稼働!まず取り掛かったこと

2023年12月1日に購入した農地が引き渡しになり、正式に使えるようになりました。

※農地購入時の経緯はこちらの記事をご参照ください↓
https://pocoapoco-bio.com/new-farm/

2024年3月に入った現時点でまだ本格稼働はできていませんが、春・夏の植え付けに間に合うように準備を進めています。

【まず真っ先にしたこと】水利組合への挨拶

いの一番にしないとあかん!と思っていたことを、まず真っ先に決行しました。水利組合の会長さんへの挨拶です。

水利組合には迷いなく加入

うちはお米じゃなくて野菜なので、水利組合に絶対入らないといけないというものではありませんが、入らないという選択肢は頭の中に1ミリもありませんでした。入らないとなると周囲の皆さんとうまくやっていくつもりはありませんと宣言してるように受け取られる懸念がありますし、仮に将来やっぱり入りたいと気が変わった場合、高い金額が必要だとも聞いています。

実際に水路の水を使うかどうかはまだちゃんと考えられていませんが、昨年のような渇水も今後また起きると思うので、使えるようにしておくに越したことはないと思いました。

超緊張しながらご自宅へ

水利組合への挨拶・・・何気にこれがずっと緊張していて、農業委員会の許可が降りるかどうかの次にドキドキしていました。「12月になったら行かなあかん、行かなあかん」と自分に言い聞かせ、正直気が重い状態でした。これまでの畑の水利組合は、こじんまり和気あいあいという感じでしたが、今回の水利組合はため池を持っている大きな組合です。怖い人だったらどうしよう・・・。

水利組合の会長さんの電話番号などは市役所に聞けば分かるけれども、今回は仲介してくれた不動産屋さんが情報を持っていたので、会長さんのご自宅を訪ねました。高島屋で買った手土産を持ち、12月に入って最初の週末、夫と共にドキドキしながら・・・。

いろいろ教えていただいた

結論から言うと、すごーく穏やかで優しい方でした。挨拶と水利組合への加入手続きをしてすぐに失礼するつもりでしたが、他にもいろいろなことを丁寧に教えていただいて、気がつけば1時間以上もお話ししてしまいました。私の情報は、前の地主さんがあらかじめ伝えてくださっていたということも大きかったかもしれません。

この水利組合のことをまずは詳しく教えていただいて、他にもこの辺りの土のことや、水の引き方、やってはいけないこと、野焼きについて、駐車について、周辺の農地のことなども詳しく教えていただきました。

水利組合の役務についてですが、これまでの水利組合は年に一度、田植えの前に川の堰を開けて水路掃除をするという役務がありました。今回の畑の周りにある水路はパッと見ただけでも暗渠などもあり、本格的な水路になっていて、掃除はかなり大変そうです。やはり自分たちで掃除するんだろうか・・・と不安に思っていましたが、掃除や水路の手入れは専門の人?がしてくださるということです。その分の経費は水利組合費とともに年に一度お支払いすることになっています。金額は前のところより4倍ほど高くなりますが、役務がないということでかなり安心しました。

水のコントロールが課題

早春の今は水路はチョロチョロと水が流れている程度ですが、田植えの時期になるとものすごい勢いで水が流れるらしく、これまでの畑の水路とはまた全然違う感じになりそうです。ひしゃくで水路から水を汲むなんてそんなレベルの水勢ではないらしい。水路も大きな水路と小さな脇道の水路とがあり、脇道の水路はヒシャクから取れるかもしれませんが・・・ちょっとまだイメージ湧いていません。

畑の片隅によくある黄色の大きな水のタンクを設置してポンプを使ってそこに水を溜めておくようにしたら水やりに困ることはないのかなと夫と話をしていますが、とりあえずもう少し後で考えようと思います。

このあたりは畑が少なく、ほとんど田んぼです。田植えの時期は、水利組合の方やお米農家さんの作業が優先になるので、新参者の私たちは決して邪魔をしないよう今年は慎重にいこうと考えています。ポンプの設置はいろいろ見極めてからにした方が良さそうです。

お隣はいくつかの家庭でシェアして家庭菜園をされている畑なんですが、話を聞くと、やはり田植えの時期、水路に水が流れ出すと結構水浸しになるそう。

うまく水のコントロールができるのかなぁと若干不安ではあります。

【2番目にしたこと】土壌検査のサンプルを採って発送

土壌検査はこれまでJAで無料の検査を受けていました。

ただ、この無料のは検査結果が簡単すぎるのと、有機栽培の場合は検査結果を受けても何を投入すればいいのかよく分からないということもあり、有料でもいいからもっと詳しい検査を、できれば有機栽培向けの検査を受けたいと考えるようになりました。

有機栽培に適した「SOFIX」の検査を受けることに

ズバリこの検査を受けたいという具体的なのがすでに頭の中にありました。「SOFIX」という土壌検査です。

「SOFIX」とは立命館大学の教授が開発された土壌診断の技術で、「Soil Fertility Index」の略だそうです。そのまま日本語にすると「土壌肥沃度指標」になりますが、これは画期的な検査なのだそうです。

私がこのSOFIXを知ったのは、やっと家庭菜園を始めた頃なので8年ほど前かと思います。電車の吊り広告でSOFIXという画期的な土壌検査が開発されたということとその講習会があると知り、いつか役に立つかもと思って、なんか良く分からないままにとりあえず申し込んで講習会に出席しました。

その講習会で説明を受けたのは、以下のようなことです。

  • 立命館大学の教授により、土壌中の微生物量を数値で示すことに成功
  • その技術を「SOFIX」として確立し、実用化に向けて動いている
  • とかく勘や経験に頼りがちな有機農業も数値で見える化をすることができる
  • 有機農業だから安心というわけではなく、有機質肥料でも肥料のやりすぎは野菜中に硝酸態窒素が残り、食味も悪く身体にも悪いので適切な施肥設計は重要である

この講習会でおっしゃってたのですが、海外を含むいろいろな土壌を検査したところ、微生物が検出不可(全くいない)というのもあったそう。ゼロとまでいかなくても微生物がほとんどいない状態のは多いらしく、そういうところは肥料で育てている「肥料過多」になっているとのこと。こういう圃場ではまずは少しずつ肥料成分を抜いていき、微生物を増やしていくようにするが、肥料って足すのは簡単だけれど抜くのが難しい、じっくり改善していくしかないが、まずはそういう状態になっていることに気づくことが大切ということでした。

このSOFIXの技術は私が講習会を受けた時点では本格的な実用化はこれからというお話でしたが、もうすでにかなりの実績があるようです。インスタでも時々SOFIXを使っているというのを見かけるようになりました。

ホームページに詳しく記載されていますので、興味のある方はご覧になってください↓(広告ではありませんのでお気軽に・・・)

サンプル土壌を採取して発送

土地が引き渡されたそのままの土壌を調べてもらうために、12月に入ったらすぐにサンプルを採取しようと考えていましたが、料金体系などホームページではどうしても分からないこともあり、電話でいろいろ質問して詳しく教えてもらいました。下の写真のように、無事、サンプルの採取完了!混み状況によって結果が出るまでの日数は変わってくるようですが、今回は12月上旬に発送してお正月を挟んで年明けに結果をいただきました。

診断結果は下から2番目でした・・・

検査結果は、SOFIXならではの微生物量の他、もちろん、炭素、窒素、C/N比などの基本的な検査結果も示してくれます。土壌肥沃度は8パターンに分けて判定され、最上位になると認証ラベルがもらえて、販売する際に差別化の武器にできるということも魅力です。

今回購入した農地の検査結果は、残念ながら8パターン中、下から2番目ということで、微生物がかなり少ない状態であるということが分かりました。まあずーっと慣行農法の水田だったところなので、納得です。

今後も年に一度程度で診断してもらって、どれだけ土壌が肥えてきているか把握していこうと思います。少しずつでも良くなっていってると分かったらモチベーションのアップにつながります。

ちなみに、別料金で、施肥設計や資材の成分分析等も行ってくれるようですので、全くにっちもさっちも何も育たない状態になれば依頼してみようと思います。

【3番目にしたこと】馬フンを投入して耕運

12月1日に土地を引き渡された時、この状態でした・・・。耕してくれてなかったんですよね・・・。

トラクター持ってませんねん・・・

稲刈りが終わった後に稲が少し伸びてきたこの状態は「ひつじだ」というらしく、俳句の季語なのだそうです。私としてはこの光景を見て「一句読みたくなりましたなぁ」なんて心境には到底なるはずもなく、ただただ途方に暮れました。うちはトラクターを持っていないのです。これはどうすれば・・・。

最悪、農協に頼む(有料)ということもできますが、「自分たちでちゃんと管理できます!」と宣言して3条許可が降りている手前、いきなり「自分では出来ないのでお願いします」とは言いにくいです・・・。

夫にどうしようかと相談してみると、「持ってる耕運機で耕すしかないがな」と超珍しく前向きなことを言ってくれました。

というわけで、とりあえずちっこい耕運機で耕すことに。

迷った末に馬ふんを投入することに

耕運機をかけるにあたって、何か資材を投入するか。

水利組合の方に教えてもらったのですが、水田だったところは畑にしようとしてもどうしてもカチカチの土になってしまうので、馬ふんを投入するのがおすすめだということです。その方もカチカチになって困っていたところ、馬ふんを投入するようになったらフカフカのとても良い土になったとのこと。

この時点で、上記の土壌検査に依頼ずみでしたが、まだ結果は出ていませんでした。でも見た感じで微生物量は少ないだろうということは容易に想像でき、すぐにカチカチの土になってしまうだろうということも想像できます。

馬ふんは、調べてみたところ、牛フンや鶏フンと違って肥料成分が少なく、純粋に土壌改良資材としてとても優れているということが分かりました。ただ、うちはいろいろな理由から牛フンや鶏フンを使わない栽培で「動物性堆肥不使用」として販売しており、馬フンを入れると「動物性堆肥不使用」とは言えなくなってしまいます。どうしよう・・・

迷いましたが、馬ふんを入れることにしました。カチカチの土になってしまうと良いものができにくいし、作業性も悪くなります。農地も購入し、ここから先は「売れるものをきちんと育てる」というフェーズにきています。「動物性堆肥不使用」をつらぬくか、フカフカの土にすることを優先するかを天秤にかけて、後者を優先しようと考え、馬ふんを投入することに決めました。

というわけで、軽トラで馬ふんを運び→ばら撒き→運び→ばら撒き・・・を4回行いました。「馬ふんてちょっと草原の匂いよね」なんて言ってみたりもしましたが、馬ふんは馬ふんです。

まぁでもハエも全くおらず、本当に草の匂いもする良い馬ふんです。この馬ふんは近くに無料でいただけるところがあって、競走馬じゃなく、オリンピック競技にある乗馬用の馬たちの落とし物で、毎日たくさんの人が貰いに来ている有名なところです。

約1トン、畑に投入しました。腕バッキバキ。

いざ、耕す!

そして軽トラに耕運機を乗せて運びました。

軽トラに耕運機を乗せるのって、3月の今ではもう何度もやっているので慣れたものですが、この12月の時は初めてだったのでドキドキでした。これを読んでくださっているみなさんはどうでしたか?あゆみ板折れない?とか、荷台に乗せた後もそのまま前進して座席部分がひしゃげちゃったらどうしようとか、車を走らせてる間に道に落ちない?とかドキドキしませんでした?

心配している私をよそに、夫が割とポーカーフェイスで難なくこなしてました。運転中に動かないようにロープで固定するのも何故かうまくやってました。どこでそんな技を??まあいいや。

こちらの写真が、ざっと耕運した後の写真です。どう見ても耕運機ちっちゃいです。約3時間かかりました。

年内はここまでやって終了。

本当は、「新しい畑にはまず緑肥」と思って時期的に麦の種を蒔くのがちょうど良かったのですが、間に合わず、断念しました。

よく見たらまた長文のブログを書いてしまいました。ここら辺で一度止めます。前述の土壌検査の結果が年が明けてから出たので、それを受けてまた新たな資材を投入したりした話はまた次回・・・。

長い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

広告