2023年過酷な夏を経験して思うこと

前回の更新からずいぶん間が空いてしまいました。
久しぶりに更新します。

今年の夏はなかなかしんどい夏ですね・・・。

猛暑の夏のモーニングルーティン

新規就農して3回目の夏。エルニーニョ現象のために冷夏になるかもしれないと言っていた人もいましたが、蓋を開けてみればとんでもない猛暑になっています。

これだけ暑いと日中の畑作業は命の危険があります。

私は、夫の出勤がかなり早いため、季節に関わらず平日は毎朝4時半起きで、普段は朝に色々と用事を済ませて畑に行くというルーティンにしていますが、梅雨が明けてから猛暑がおさまるまでの期間は、夫を送り出した後、6時過ぎに畑に出かけるというルーティンにしています。皆さんもっと早いようなので遅めで恐縮です。

6時半頃に畑に着き、「そろそろ熱中症の危険があるかも」と感じるまで作業します。雲や風がある日は9時半頃まで約3時間の作業ができますが、本当に暑い日は午前8時前の時点で気温が32度を超えてくるので、1時間半くらいの作業で終了になります。

ちなみに32度と言うのはヤフー天気に表示される気温なので、実際の畑の気温はもっと高いはずです。本来は温度計を持参して実際の気温で見る方がいいのでしょうけどね。

週末は夫も一緒ですが、平日は一人ですから、意識を失って倒れると本当にそのまま死んでしまうので、あまり頑張ってギリギリまで作業しないように気をつけています。これまで何度も熱中症になりかけていますが、私の場合は、まず呼吸が荒くなり、鼻の上の方が痺れてきて、そのままいくと目の前が砂嵐になって倒れるという推移で、過呼吸の症状とほぼ一緒ですが、何かしら呼吸が荒くなってきたら要注意という認識でおります。

1リットルの水筒、熱中症対策のタブレット、熱中症になりそうなときに日陰を作れるように遮光率99%の日傘を必ず持参します。

帰宅してから洗濯しますが、そこから干しても余裕で乾くのが猛暑の良いところ(?)です。

雨が降らない辛さ

今年の夏の辛いところは、暑さもさることながら、雨が降らないことです。

梅雨までは例年以上に雨が多くて、畑から水がなかなか引かないとボヤいていたりしましたが、梅雨明け後はさっぱり雨が降らず、水が引かないとボヤいていた自分を恨んだりしました。スマホには「雨雲が近づいています」という通知がきて、雨雲レーダーを見ると近くまで雨雲が来ているのが確認できるのに、実際には雨が降らなくてガッカリするということが何度もありました。これは精神的になかなかキツイです。

私が借りている畑は2つあり、1つは水道がなく、1つは水道があります。
水道がない方の畑では基本的に水やりをせず、天然の雨だけで育てていますが、雨が降らない猛暑がここまで続くと土が真っ白の砂のようになり、地割れができ、いろんなものが干からびてきたので、さすがに天然の雨を待ってられないと判断し、柄杓で水路の水を汲み、ジョウロを使って水やりをしました。

(過去のブログにも書きましたが、水路の水は好きな時に好きなだけ使っていいと水利組合から言ってもらっています。年一回の水利組合の水路掃除に出席していることと、うちの畑が一番下流であとは川に流れていくだけだからです。)

しかし、本当にずっと雨が降っていないため、ついに水路の水もほんの少ししか流れてこなくなり、水やりができなくなりました。近くの別の水利組合の田んぼでは、ポンプで田んぼに水を入れているところもあると聞きました。異例の事態だそうです。

大きなゴミバケツに雨水を溜めてはいますが、地割れができているような乾燥し切った畑にはこれっぽっちの水ではまさに焼け石に水です。自宅から水道水を持参してというのも考えましたが、目先にマルシェがある等の販売が決まっている野菜ではないので、野菜の生命力に任せることにしました。

タカノツメがこんな感じにカサカサに。↓

むしろ、ここまで干ばつ状態なのに、枯れずによくもってくれてるなぁと思います。いや、この写真だけ見たらすでに枯れてるやろ、って見えますよね。

一方、水道がある方の畑では、早朝に水やりします。中途半端な水やりはかえって根を痛めるので、30分程かけてホースリールを使ってしっかり水を与えます。雨が降ればもっと短い時間で済むのにな、雨が降ってくれればこの時間を他のことに使えるのにな、と思ったりしますが、水道のある畑を借りることができているのは奇跡的で、まずはこの畑を貸していただいていることに感謝したいです。この夏はこの畑が心のオアシスになっています。

梅雨が明けて夏が始まってすぐの頃は、夏が来たことが嬉しくて、ウキウキしながら水やりし、それがとても気持ちよくて「畑サイコー!!」なんて思ったりしましたが、ここまで連日猛暑が続いて終わりが見えないと、体力と精神力の勝負になってきます。お天気の週間予報を見ると、ずらっと35度以上を表すギラギラの太陽マークが並んでいて、泣きたくなります。

朝の最低気温も29度までしか下がらないことがあって、朝からムワッと暑いというのも体に堪えます。高齢の親のことも、とにかく心配でたまりません。

毎日17時、翌日の「熱中症警戒アラート」が判で押したように無機質にスマホに通知されてくるのも、何気にストレスを感じるようになってきました。

そして強烈な胃の痛みに襲われる

畑では大量の汗をかくので、一人の時でも氷を入れた1リットルの水筒を持参し、熱中症にならないよう頑張って飲むようにしています。

しかし、それが知らず知らずのうちに胃を酷使していたのと、いろんなストレスが加わってか、日を追うごとに胃が水分を受け付けなくなっていき、ついにある夜、強烈な胃の痛みに襲われました。胃を押さえて七転八倒すること数時間。おそらく急性胃炎かなと思います。(胃カメラが怖いので病院には行ってません。)

実は8月1週目は諸用のために1週間ほど畑に全くいけない時があったんですが、その1週間もかなり自分を追い込んで準備していたことや、間をおいて猛暑の畑に復帰したことが逆に体への負担になったのかもしれません。

水が飲めなくなったら命取りなので、それからは自宅では温かいものを飲むようにし、意識的に体を休めるようにしました。本日時点ではもう元気になっています。

日照りは、関西はお盆に台風7号がきて、久しぶりにしっかりと雨が降り、とりあえず解消されました。土ってそういえば茶色だったなぁと感動。前述のタカノツメはこんな感じになりました↓天然の雨の力は偉大ですね。

それ以降は雨も降るようになり、ようやくニンジンの種まきもできて少しホッとしましたが、まだ雨が降らない地域もあるとニュースやYouTubeで耳にします。猛暑の中、一日中水をトラックで運んで田んぼに水を入れていると聞くと本当に胸が痛みます。こんな過酷な夏、もういい。どうか早く普通の気候に戻りますように・・・。

2023年の過酷な夏を経験して思うこと

この異常な夏は今年だけが特別なのか、それとも今後もこんな感じになるのか・・・。温暖化しているという人もいれば逆に寒冷化しているという人もいてよく分かりませんが、何かしら異常気象が常態化しつつあるんだろうと思います。

しんどくても農業をやっていて良かった

こんな夏が毎年かも、いやもっと厳しくなるかも・・・と思うと気が遠くなりそうです。

農業という仕事はなんと大変なことかと思いますが、だからこそ、農業をやっていて良かったとも思います。
というのは、私が農業をやりたかった理由はいろいろありますが、その中でも大きいのは、近い将来くるだろう食糧危機に備えて食料を自分で作れるようにしておきたいということがあります。

今年はアジアでお米が不作だそうで、米の価格が急上昇しているとブルームバーグが報じています。思い出すのはマスクやトイレットペーパーが店頭からあっという間に消えた時のこと。アジアの人が日本のお米に目をつけるとどうなるだろうと考えてしまいます。いよいよ食糧危機の足音が聞こえてきたかもしれません。

⚪️ブルームバーグ 2023.8.9付
アジアのコメ価格上昇、タイ白米が08年以来の高値-供給リスク浮上
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-09/RZ4A3VDWRGG001

⚪︎ブルームバーグ 2023.8.22付
インドがコメ輸出制限の強化検討、世界的な供給懸念も-関係者
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-22/RZS6J0T1UM0W01

一方、昨日行ったスーパーでは、キャベツ1玉税込138円で売られていました。諸経費や物流コストなども上がっているのに、これはあまりに安すぎる。感覚が麻痺してしまいそうです。

異常気象が増えてきて野菜を育てるのが大変になったうえに、農作業が過酷、野菜が安い、経費の高騰・・・それならもう農業やめて自分や家族が食べる分だけ作れればいいやという農家さんが増えていって、ジワジワと作り手が減っていくという流れになるのだろうと思います。

でも、これまで価格転嫁ができなかったという農産物以外の様々なものが「値上げ解禁」みたいな感じで今はものすごく値上がりしているように、今後、野菜も供給が減っていけばいずれ値上がりしていくのだろうと予想しています。そうなってから自分で野菜を作ろうと思ってもすぐにはできないので、今の時点で食料を少しでも自分で作れるというのは安心に繋がっています。だから、しんどくても畑を借りて、農業をやっていて良かったと過酷な夏を経験して改めて思いました。

と言いながら、お米づくりは全く知らないのでこの点がやや不安ですが・・・

私にはやはり少量多品種の小規模農業が向いている

私には、炎天下の中トラックで水を運んできたりというような力仕事はとても無理です。

だから、大規模農家さんと同じことはできないと最初から割り切り、少量多品種を育てて、気候に合わずに育たなかったものは、そこから手を加えて守り切るかそれとも見切ってしまうか早い段階で判断し、生き残ったものを丁寧に育てていくのが現実的と思うようになりました。株式投資で例えると「分散投資」と「損切り」です。

また、猛暑と日照りの期間はまともな収穫ができない茄子やピーマンなどを見て、農業収入以外の収入を確保しておくのもとても重要なことだと再認識しました。現在の「平日は私一人、週末だけ夫が参戦」というマンパワーで、農薬、化学肥料、除草剤を一切使わないやり方では、手が行き届く範囲はマックスで1500平米。これ以上拡大路線に走ることなく、全く収穫できないリスクもあることを踏まえて臨機応変に対応できるよう、常に、金銭的、体力的、時間的に余裕を持っておかないといけないと思いました。

技術が身についていけば、異常気象で野菜の供給が減る時に提供できる野菜があれば喜んでいただけるかもしれません。小規模家族農業は、フレキシブルに対応できるのが良いところです。今年の夏は長引きそうなので、本当ならもう時期的にかなり遅いインゲンの種を実験的に一袋だけお盆に蒔いてみました。今朝の時点でこんな感じです↓

生産効率が高い大規模農業が今後も食糧生産の中心でありながら、一方で、「家族農業」「スモールファーマー」といった小規模の農業が今後日本の食卓を陰ながら支えていくことになるんじゃないでしょうか。私は後者側で野菜を提供できるようになればと思います。

また、これだけ異常気象が顕在化してきているので、さすがに環境保護に対する意識も少しずつ高まっていくんじゃないかと予想しています。これまで「オーガニック」とか言っても意識高い系の人みたいな感じでしたが、これからはさすがに環境に負荷をかけない農業というのも少しは盛り上がっていくんじゃないかと思っています(期待も込めて)。農薬や化学肥料を使わないのは小規模農業の得意分野です。

・・・等と考えていた矢先、市役所から下の写真の補助金の案内が届きました↓有機質肥料に限定しての補助金だそうです。ちょっと嬉しい。この機会に油粕と魚かすと牡蠣殻石灰を買おうと思います。微生物資材や緑肥の種も対象にしてくれたらもっと嬉しいところです。

話があちこち飛んで恐縮ですが、アマゾンのプライムビデオで配信されている「ジェレミークラークソン農家になる」というドキュメンタリー、ご覧になっている方いますか?イギリスで農業を始めたジェレミークラークソンですが、「超高密度の牛の放牧」といった会話があるので、どうやら前回のブログで書いた環境再生型農業にチャレンジされているようです。環境再生型農業がこんなところでも!と興味深く見ています。失敗談も多くて普通に面白いのでぜひ見てみてください。

効率的に作業する方法を探らないといけない

真夏の農作業は、早朝と夕方の限られた時間しかなく、いかにチャッチャと作業を済ませるかが大事です。また、草刈機は結構騒音が出るので早朝は使わない方がいいだろうとか考えると、どういう段取りで作業するかも重要です。

畑以外でも、いろいろな勉強もしていきたいので、勉強時間も捻出したいです。

夏の作業は、水やり、収穫、誘引などいろいろありますが、大きなウェイトを占めるのが除草です。いかに除草を効率的にするかというのが課題でしたが、今年、一か八かで投入したアイテムがものすごく素晴らしく、これのおかげでかなり効率的に除草ができるようになりました。詳細は次回のブログで書きますが、先にモノだけ言っておくと、下の写真の車輪がついてる「手押し耕運機」です。

次回、これについて熱く語らせていただきますので、お付き合いよろしくお願いいたします笑

おまけ

暑い中、汗だくで作業していたら、道行くおじさんから「ピーナッツ、ええ感じになってきましたなぁ」と声をかけられました。(この写真は7月22日時点のです↓)

「毎日この畑の前を通るの、楽しみにしてるねん、頑張ってな」と言ってくださいました。ありがとうございます、がんばります!

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