新規就農から丸2年。今、こうなってます。

農業委員会の許可を受けて初めて畑を借りてから、丸2年が経ちました。

本日のブログでは、新規就農時に購入したものがその後どうなったとか、丸2年経った今の状況を色々書いてみたいと思います。

まずは耕運機から

新品で購入したヰセキの耕運機です。これは今でもメインで使っています。↓

※この写真は購入時に撮ったものです。今はもっと土埃りをかぶって汚れています。

※購入時に書いたブログはこちらです↓
【就農にあたって】耕運機を購入しました

畝立て用のアタッチメントをつけて、37万円でした。うちみたいな少量多品種栽培の場合は1畝ずつ耕すことが多いので、これくらいのコンパクトなのがちょうど使い勝手がよく、2年経った今でもやっぱり買って良かったと思っています。

ただ、真ん中にある前進後進などの切り替えをするレバーが、中の部品に引っかかって動かなくなることがよくあります。最初の頃はヰセキさんに来てもらって修理していましたが、最近は夫が自分で修理できるようになったので、プラスドライバーで前のカバーを開けて自力で修理していますが、やっぱり面倒なようで「い〜、またかっ!」と舌打ちが聞こえてくるのがお約束になっています。

今後、不耕起栽培に舵を切った場合は耕運機は使わないかもしれませんが、1台は持っておいた方がいいと思うので、これはずっと手元に置いておくつもりです。

そして大きい耕運機。これはお借りしている耕運機です。↓

ディーゼルエンジンでパワーと安定感があります。手回しで少しずつ勢いをつけてエンジンをかけるのですが、音がディーゼル独特の「ボッ、ボッ、ボッ」という感じで、エンジンがかかると「ボボボボーッ」と煙突から黒煙が上がります。蒸気機関車に乗る前みたいなワクワク感をそそらせてくれる耕運機です。

と呑気なこと言っていますが、大きくて私はとても使えません。

夫もかろうじて使えるという感じですが、前に一度、この耕運機で耕してくれているとき、畑の端まで行って向きを変える時にターンしきれず、耕運機もろとも法面から転落するという事故がありました。

この時、私はちょっと離れたところで作業をしていたのですが、何かを感じて振り返ったらちょうど夫が転落する瞬間で、驚きすぎてあまり覚えてないのですが、気がついたら走ってました。法面の下にいたのは、怪我ひとつない夫でしたが、もし耕運機の下敷きになっていたら大怪我、もしくは大怪我どころじゃすまなかったかもしれません。身を守るためにギリギリのところで耕運機から手を離したので、何とか下敷きは回避できたようです。また、この場所はよく車が停まっていますがこの日は停まっていなかったことも幸いでした。

怪我なく済んで本当に良かったと思いますが、この日、帰宅してからも夫の様子がちょっと変で、「あーよっこらしょっと、あーやれやれ、あーやれやれ」というような独り言をずっと言ってました。若干、トラウマになっているみたいです。

また、落下の衝撃でハンドルが曲がってしまったので、修理に出さないといけないなと思っています。

そしてミニ耕運機。リサイクルショップで成り行きで購入したものです・・・↓

中古で、お値段は3万6千円でした。なかなか使い勝手良くてそれなりに気に入っていましたが、ある時エンジンの紐が中の方から切れてしまい、夫が修理を試みましたが治らず。購入したリサイクル店はすぐ近くなので、修理できないか相談したところ、その状態になったらメーカーに修理に出すしかないということでした。

修理に出しても高そうだな・・・ということで、今はとりあえず放置状態。安物買いのなんとやら、というのを思い知りました。

道具小屋

耕運機の購入とほぼ同じタイミングで、耕運機を収納する小屋として「サイクルガレージ」を導入しました。購入した時のペーパーに、確か寿命は3年ほどと記載されていたように思います。2年経過した今、どうなっているでしょうか。こちらです、ジャン!↓

ボロボロです。しかもこれは1ヶ月ほど前に撮影したもので、今はもっと加速度ついてボロボロになっています。

風雨にさらされているのでそんなに長持ちはしないだろうと予想していたから想定内ではあります(強がり)。補強テープで破れたところを貼って何とか形を保っているという状況。補強テープを貼るところが多すぎて、布製っていうか、補強テープ製って感じになってます。ファスナーは1年ほど前にガチガチで動かななくなったのですが、シリコンスプレーをかけてみたらスムーズになりました。・・・というかこの状態でファスナーがスムーズかどうかなんてもはやどうでもいいですよね。

なぜこんなに劣化が早いかというと、原因はカラスです。天井部分に止まって、止まるならパイプ部分に止まったらいいのに布部分に止まり、日光で脆くなった布では体重を支え切れなかったか天井に大きな穴が空いているということが何度か続きました。また、魚かす入りのボカシ肥を置いてるということもあってか、クチバシで突いたりするんですよね・・・。

さてどうするかですが、秋頃に軽トラを購入する計画もあるので、このサイクルガレージの買い替えはせず、どこかシャッター付きのガレージを借りようかなと思っています。え?軽トラ持ってなかったん?と言われそうですが・・・そうです、ようやく。(これを機に様子見していたインボイスを登録しようかとも考えています。もう少し考えます。)

と、こんな感じで劣化が早いサイクルガレージですが、ここはあくまで借り土地なので、撤退する時のことを考えるとこのサイクルガレージはちょうど良かったです。

土の状態

次に土の状態についてです。3つの畑、それぞれどんな状態でしょう。

1.最初に借りた860平米の畑

最初の頃は、本当にガチガチで、シャベルを入れたら粘土、もしくはガチンと音がする硬い層がすぐに出てきました。せっせと米ヌカや籾殻くん炭を入れたり、ライ麦、えん麦、セスバニアなどの緑肥を育てたり、地味に少しずつ改善していき、最初の頃に比べたら随分よくなったと思います。

当初は不耕起栽培をやりたいと考えていたけれど、不耕起栽培は関西の土は難しいと研修で教わったということと、あまりにガチガチすぎてまずは空気を入れないとと考えて、不耕起栽培は見送りました。

しかし、2年経ち、改めて不耕起に挑戦してみようかなと考えるようになりました。本の影響です。こちらの3冊、読まれたことがある方も多いのではないでしょうか。

福岡正信著『わら一本の革命』。自然農をされている方はほぼ読んでおられると思います。というか、この本をきっかけに自然農を始めた方も多いのではないでしょうか。

不耕起、無除草、無農薬、無肥料の福岡正信さんの自然農法。その理念はアメリカでの不耕起栽培の第一人者であるゲイブ・ブラウン氏にも影響を与え、今では不耕起栽培が環境再生型農業として注目されるようになり、アメリカで大きく広まりつつあるそうです。ゲイブ・ブラウン著『土を育てる』や、堤未果著『ルポ食が壊れる』に詳しく記載されています。『ルポ食が壊れる』は、おすすめですよということで貸していただいた本ですが、すごく勉強になりました。

ゲイブ・ブラウン氏の不耕起栽培は、6つの原則があります。

原則1:土をかき乱さない
原則2:土を覆う
原則3:多様性を高める
原則4:土の中に生きた根を保つ
原則5:動物を組み込む
原則6:背景をみる

「原則5:動物を組み込む」で言われる“牛や鶏などの放牧”は、広大な農地のアメリカならではであって日本にはちょっとそぐわないかなと思いますが、元は福岡正信さんが原点なので、日本ならではの不耕起栽培で十分OKと思います。

ちなみに、昨今は牛が気候変動の犯人とされ、減らせ減らせと可哀想な状況になっていますが、『ルポ食が壊れる』によると、悪いのは牛ではなく、問題は飼い方なのだそう。牛を放牧することで土壌が改善され、土が炭素を地中に閉じ込める機能を取り戻し、温室効果ガスを減らすことにつながるとのこと。

もう、何が正しいのか混乱してきましたが、福岡正信さんの自然農がこんなにも世界に影響を与えていることを、恥ずかしながら最近まで知りませんでした。

不耕起栽培、やっぱりもう一度やってみようかな・・・。土が改善されてきた今ならできるかもしれない。

そう考え始めた矢先、この畑で不耕起栽培を断念する事情が出てきてしまいました。どういう事情かは、もろもろ落ち着くだろう年末頃(遅っ!)に執筆する予定です。

2.2番目に借りた500平米ほどの畑

この畑は、すごいです。どれだけ大雨が降っても、絶対に水溜りができません。水が溜まっているのを見たことないです。おそらく、地主さんがかなりお金と時間をかけて、土壌改良と水捌けの改善をされたのだと思います。写真を撮るのを忘れたのですが、コンクリートでレイズドベッドのような感じで持ち上げられています。土はこんな感じです↓

上水の水道もあるし、フェンスに囲まれているし、車を止めるところもコンクリートになっているし、こんな素晴らしいところを貸していただいて、本当に感謝しかないです。なのに草を生やしている私・・・。

そう、ここは雑草と共生する自然農は、そぐわないと思っています。この畑はちゃんと雑草を抜いてきれいに管理しようと思っています。

お借りして1年経ちましたが、綺麗すぎてまだ勘が掴めておらず、種まきしても育ち切らないままトウ立ちさせてしまう、ということが続いています。さつまいもや大豆は抜群によくできたことや土壌検査の結果からも肥料成分がかなり不足してそうなので、もう少し多めにボカシ肥を与えるとか、ちょっとやり方を変えてみるつもりです。

最初に借りた畑の除草に時間が取られてこちらは時間がある時にという感じになってしまっていましたが、今年はこの畑と真剣に向き合い、こちらを色とりどりの野菜でぎっしりにするのが目標です。

という感じで素晴らしい畑なのですが、強いてマイナス面を挙げると、近くに水が溜まっている耕作放棄地がありまして、蚊がすごいんです・・・。畑で蚊取り線香を使うと残留農薬が検出されるから使ったらダメと聞いているので、肌につけるオーガニックの虫除けスプレーで対応していますが、気休めにしかなっていない様子。これは、おにやんま君の出番でしょうか。買うか迷い中です。

3.3番目に借りた200平米ほどの畑

こちらの畑はあまり気が進まない状態で借りることになったのですが、先日、お返しすることになりました。詳しい理由を書くのは相手があることなので控えておきますが、正直、ほっとしています。

以前、農業スクールの先生が、「この畑も借りて!この畑も借りて!という感じで気が進まないのに断れず、いつの間にかたくさん借りてしまってしんどくなってしまうというのは”新規就農あるある”なので気をつけて」という話をされていました。

管理しきれていない畑を借りているというのは、地主さんにとっても、周辺の人にとっても、自分にとってもマイナスでしかないと思います。断るべき時は最初にはっきり断らないといけない、優柔不断な態度は逆に迷惑をかけてしまうと肝に命じました。

2年経って思うこと

ブログからも伝わるかと思いますが、振り返れば、最初の頃はしっかりしなければという気持ちが強く、力が入りすぎてずいぶん尖っていたように思います。

そんな私でも、周りの人が大目に見てくれたり助けてくれたりということに恵まれて、なんとかやってこれました。いつの日か、ベテラン農家になっても、この時の感謝の気持ちはずっと忘れずにいたいです。

上で紹介した本などから、家族農業、小規模農業というのは、環境面、食料の安全性、食料危機を回避、などを考えてもこれから大変重要な存在になっていくと思います。最初の頃は迷いもありましたが、小規模でちまちまやっているなんて非効率、時代は大規模化だ、というような路線とは異なる価値が家族農業にはある、私が行こうとしている道はこれでいいんだと今は確信しています。

実は今、新規就農して以来最大の転換期にいます。

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