【就農に当たって】有機JAS認証取得を目指してみます(長文失礼)

2021年6月7日

ずっと以前から、「就農したら有機JASの認証を取ろう」と考えていました。

ようやく農地を借りることができたので、先月、有機JASの講習会を受講しました。講習会を受講することでネガティブな側面も見えるようになり、認証取得を目指すかどうか迷いましたが、やはり当初考えていた通り、有機JAS認証取得を目指してみることにしようと思います。

まだスタート地点に立った段階ではありますが、現時点でも、いろいろ分かったことや考えたことがありますので、新規就農で有機JAS取得を少しでも考えておられる方の参考になればと思い、記事を書きたいと思います。

<目次>

  1. 一番伝えたいこと
  2. 講習会の受講方法
  3. 有機JAS認証を取る必要がないと考える人も多い
  4. 認証を受けることにした理由
  5. どういう農業をすることになるか(ざっくり)
  6. 私が躊躇した理由
    • ①育苗場所・出荷場所がマンション
    • ②少量多品種栽培の予定なので、記録がかなり大変
    • ③思いつきで苗を買ったりもらったりができなくなる
    • ④使用したい資材の「適合性確認」が煩わしすぎる
    • ⑤病虫害対策が難しい(自然農薬は使えない)
    • ⑥分からないことが多いが、質問できない
    • ⑦費用について

1.一番伝えたいこと

先に一番伝えたいことを書きます。
もし、少しでも有機JAS認証の取得を考えているならば、真っ先に講習会を受講することをオススメします

理由は、使って良い資材・ダメな資材のことや、記録の仕方等を早い段階で把握しておかないと、後悔することになるからです。

私の場合は、有機JAS認証取得を目指したいけれどどうしたらいいの?と、そもそもそこからスタートでした。いろいろ調べて、まずやるべきことは講習会に申し込むことだと分かりましたが、開業届を出していないのに受講できるのかな?正式に農地使用許可が降りる前なのに受講できるかな?などと躊躇した結果、4月上旬の受講になりました。もっと早く受講すれば良かったと後悔しています。

<ご参考:私のここまでのスケジュール>
2月下旬:地主さんから農地を借りる許可を口頭でもらう
3月上旬:農業委員会同席で契約を交わす
3月末 :開業届を提出
4月上旬:有機JAS講習会受講
5月上旬:正式に農地使用の許可書を受け取る

なんならまだ農地が決まっていない段階でも受講していいかもしれません。認証機関によっては農地が決まっていないと受講を受け付けていないところもあるかもしれませんので、その辺りは受講しようとする機関に現在の状況を伝えて相談してみると良いです。「何年後かに農業したいなぁ」という程度なら内容も変わるかもしれないので今すぐ受講する必要はありませんが、近い将来に農地を借りて有機JASを取ろうと考えているなら、早い段階で講習会の受講をおすすめします

※2021/06/07追記
農水省が有機JASの新規参入者の支援事業をしているようです。講習会の費用も補助の対象になるようですので、講習会の受講を考えている方はこちらの支援事業に応募してからの方がよいかもしれません。
<農水省 有機農業新規参入者支援事業のページ>
https://www.organic-support.jp/

2.講習会の受講方法

全国に「有機JAS認証機関」があり、いずれかの認証機関で講習会を申し込んで受講します。農水省のホームページに認証機関の一覧が登載されています。

<農水省ホームページより>
有機登録認証機関一覧

日程、講習会の長さ(泊まりの講習のところもある)、金額、等は認証機関によって様々です。私は夫と受講し、日帰りで金額は2名で3万円ほどでした。

講習会を受講した機関と有機JAS認証を受ける機関は必ずしも同一でなくても良いそうですが、認証機関によって微妙に考えが違ったりするので、講習会を受講するところと認証を受けようとするところはできれば同じ機関が望ましいそうです。

認証時には自分の圃場まで足を運んでもらうことになり、交通費もこちらが負担するので、できれば近いところを選んだ方が良いと思います。

講習会を受講すれば修了証がもらえます。これは今後認証を受ける際の必要書類のひとつになります。つまり、有機JAS認証を受けるなら講習会はどこかのタイミングで絶対に修了しないといけないので、それならば早く受けた方が誤認なく進めていけると思います。

3.有機JAS認証を取る必要がないと考える人も多い

そもそもですが、農薬・化学肥料を使わない農家さんでも「有機JAS認証は取らない(取る必要がない)」という考えの方は多いです。そのような農家さんから理由を聞くと概ね次のようなことを言っておられました。(他にもいろいろあると思いますが、私が直接聞いた声です。)

  • 有機JASでも一定の農薬の使用が認められているから取っても意味がない
  • 有機JASの認知度が高くないから取っても意味がない
  • 有機JASよりももっと自然な方法で栽培しており、自分の顧客はそのことを理解してくれているからわざわざ認証を受ける必要がない
  • 費用が高い、事務作業が多い、など、メリットよりもデメリットの方が大きい
  • 制約が多くて自分が思うような農業ができない(有機JASのポリシーと自分のポリシーが異なる)

私も正直、迷うところはあります。講習会を受けて現実を知ってさらに迷うようになり・・・、1ヶ月以上放置していました。

ですが、この記事を書いている今、とりあえず目指してみようと自分の中で結論を出しました。

4.認証を受けることにした理由

  • 新規就農だからこそ、何らかの型にはまった中で安全な野菜を作れるようになりたい
  • 新規就農だからこそ、認証を取得することで事業者として信用を得たい

という2点です。

今後、政府としても、有機農業を推進していくというニュースを見ました。

<NHKニュース>
有機農業を農地の25%まで拡大へ 脱炭素で2050年までに 農水省

今は、「栽培期間中、農薬を使っていません」などのような表記をよく見かけますが、今後は厳しくなるんじゃないかなと推測しています。「自称の安全」ではなく、「第3者が認める方法での安全」な農業は今からやっておく方が良いのではないかとも考えました。

この辺りは人それぞれの考えがあると思うので、あくまで私の考えです。
正直まだ迷いはあるので、今後、あまりにもデメリットが多いと判断したら、途中で認証を受けるのを辞めようとも考えています。

5.どういう農業をすることになるか(ざっくり)

認証を受けようとすると、以下の規格、基準に沿った農業をすることになります。

<農水省ホームページより>
有機農産物の日本農林規格
有機農産物及び有機飼料(調製又は選別の工程のみを経たものに限る。)についての生産行程管理者及び外国生産行程管理者の認証の技術的基準

特に「有機農産物の日本農林規格」についてはしっかり読み込んで、考え方や内容を理解しておく必要があります。私もまだ完全に理解できている状態ではないので、すぐに見れるような場所において、しょっちゅう読み返しています。

私がしようとしている野菜栽培においては、特に次の項目が重要だと分かってきました。

第2条 有機農産物の生産の原則
第4条 生産の方法についての基準
別表1 肥料および土壌改良資材
別表2 農薬

基本的な考えとしては、地力を生かして農産物を育てる、自分の圃場の中で循環させ、外から持ち込む資材は必要最低限に留める、というイメージのようです。肥料、土壌改良資材、薬剤、すべてに制限がかかります。

規格・基準に沿った農業ができているか、年に一回調査員が調査にきますが、日々どういう作業をしたか、どういう資材を投入したか、販売の詳細等々、第3者である調査員に明確に分かるように、綿密に、事細かに記録を残しておく必要があります。

どういうポリシーで農場を運営するか規程を定めたり、履歴書、隣接する圃場の状況なども書面にて提出しなければなりません。隣のおっちゃんに聞くの、勇気が要ります・・・

6.私が躊躇した理由

認証取得を目指すかどうか・・・私が躊躇したのは以下の理由です。細かいところではここに書いている以外にもありますが、主なもののみ記載しています。

①育苗場所・出荷場所がマンション

育苗をするのがどうしても今住んでいるマンションのベランダになります。「育苗管理」というのも規格の中に定められているので、圃場と同じように周辺からの農薬の飛散防止措置などを厳格にしないといけません。

マンションのベランダだからダメという訳ではないと講習会の時に聞きましたが、育苗場所も調査の対象になるのでマンションも調査することになるということでした。

私はベランダで色んなものを育てており、農薬は使っていませんが、すべてが有機JAS適合のものを使っているわけではないです。農地で育てる用の育苗のものとは明確に分けていますが、変なところで指摘されたりしたら嫌だなぁと思うので、ある程度ベランダの植物を片付けていった方がいいのかなと思っています。

毎年ぶら下げている「虫コナーズ」も今後はぶら下げない方がいいだろう・・・。出荷の作業をする場所もマンションになるので、変なところで指摘されないように工夫しないといけません。

いろいろ考えると、作業用の古民家みたいなのを借りた方がいいのかなとも思っています。今後の課題です。

②少量多品種栽培の予定なので、記録がかなり大変

860㎡ほどの圃場で、少量多品種栽培をする予定ですが、ひとつの品種につき、事細かに記録をしていく必要があるため、作業の手間が大きいです。家庭菜園では、栽培から収穫までだけで良かったのですが、販売についての記録も事細かに書いていく必要があります。普通に出荷作業するだけでも大変だと聞いているので、記録も含めて一人でこなせるかやや不安です・・・。

今後は、土地にあった作物や品種を見極めて、今よりも絞って栽培するようにしようとは思いますが、有機栽培となると多様なものを育てること自体が病害虫対策にもなると思うので、絞るにしてもそこそこの数にはなると思います。

農水省が、有機JASの記録に対する事務負荷削減のために有機JAS認定用のソフトを設けてくれています。

<農水省ホームページ>
有機農産物の生産行程管理記録作成のためのソフトウェア(NORM)

でも、最終更新日が平成28年で止まっていているのと、OSがWindowsのみの対応のようなので、いまのところ使っていません。慣れてきたら自分でデータ化するなり、市販のagrionのようなアプリを使ってみるとか工夫してみようとは思いますが、とりあえずしばらくは手作業で記録していくつもりです。みなさんどうされてるのかなぁ・・・。

調査や記録に関してはある程度覚悟していたので、大変だとは思いますが、なんとか頑張ってみようと思います。

③思いつきで苗を買ったりもらったりができなくなる

これまでの家庭菜園では、種苗店にいって、「わ!これ面白そう!」という苗を見つけたら、好奇心にままに購入し、育てて楽しんできました。親切なおじさんにもらった苗を育てたりもしてきました。

しかし、今後はそういうのができなくなります。

なぜなら前述の「有機農産物の日本農林規格 『第4条 生産の方法についての基準』」に従って栽培するならば、基本は種から、種が入手できない場合は苗からでも構わないが、化学肥料や農薬(別表1,2に記載のものを除く)が使われているとアウトなので、苗を購入する場合はかなり慎重に選ばないといけなくなるからです。もらう苗もリスクが高いので使わない方が良さそうです。

これは、これまで好き勝手に育ててきた私にとっては結構痛いです。

④使用したい資材の「適合性確認」が煩わしすぎる

いろいろな書類を整えなければならなかったり、栽培に制約があったりというのは理解できますが、それにしてもこのやり方はどうにかならないのか・・・と思うところがあります。それは、使用する資材が有機JASに適合しているかどうかの確認(適合性確認)です。

牛フン、鶏フン、油かす、微生物資材、肥料、酸度調整資材・・・いろいろな資材を畑に投入しますよね?

有機JASの原則の考えは、土作りは自分の畑から出たものを使い、できる限り外から持ち込まないこと、というものですが、さすがにまだ借りたばかりの畑でそれは難しいので、必要なものを投入することになります。使う資材が前述の「有機農産物の日本農林規格『別表1 肥料および土壌改良資材』」に適合しているか、自分でチェックしたうえで原則として事前に認証機関のOKをもらう必要があります。

具体的には、メーカーから次の内容が書かれた書類を取り寄せし、

  • すべての原材料
  • 製造工程図
  • 有機JAS規格・別表1に掲載されておりその基準を満たすことの確認
  • 製造工程において化学的に合成された物質が添加されていないことの確認
  • 原材料の生産段階において組み換えDNA技術が用いられていないことの確認

その書類を自分で内容をチェックして規格に適合していると判断できれば、認証機関に書類を送って審査を受け、OKをもらって初めて使用できるという段取りになります。

「有機JAS適合」と記載されて販売されている資材もありますが、それでは不十分で、販売時に「有機JAS適合」と書かれていても必ずこの事前申請は必要になります。つまり、資材メーカー側と使う側、両方の目でチェックして、使う前に認証機関に確認を取りなさいということです。

今回、実際に育苗培土に関する資料をメーカーから取り寄せました。
製造工程などが事細かに書かれていて、こんな企業秘密みたいなものを見ていいのだろうか・・・とドキドキしながら、専門用語も多数含まれた30枚以上ある資料を泣きそうになりながらチェックしました。

これ・・・農家にここまで強いる必要がありますか・・・?
メーカー側も個々の農家から書類を求められて対応するのは大変ではないですか?

例えば「資材に対しても有機JAS規格を設けて有機JAS適合と書かれていれば使ってよし」とするとか、「このリストに載っているこの商品は使ってよし」とするとか、もっとやり方があると思います。

と思って、いろいろ調べていたら、次のようなホームページがありました。

<有機JAS資材評価協議会>
資材リスト

このリストに載っている資材は有機JASの適合性確認済みなので使ってよし、というリストです。
なんや〜あるやん、こういうのあるなら先に言ってよー、と思いましたが、よくよく見ると、認証をもらおうとする認証機関がこの協議会の正会員じゃないとダメとのこと。
私が認証をもらおうとする認証機関に問い合わせてみたら「うちは有機JAS資材評価協議会の会員ではないのでこの資材リストに載っているから使ってよいというわけではありません、使いたい資材があれば手順どおりに事前申請してください」と言われました。

「それならそちらの認証機関でも独自にこのような資材リストを作ったらどうですか?そうしたら、認証機関、資材メーカー、農家、3者ともに助かるのではないですか?」と言ってしまいました。これから認証を受けようとする機関に物申す人は私くらいかも・・・間違いなく心象を悪くしたと思います。あっけなく「そのような予定はありません」と言われましたが。

また、畑に投入するすべてについて事前申請が必要、なので、米ぬかについても事前申請が必要とのこと。

うん?米ぬかは別表1の「植物およびその残渣由来の資材」に該当し、精米機にかけるだけだから「植物の刈り取り後又は伐採後に化学的処理を行っていないものであること」という基準にも問題なくクリアするのでは?油かすなら絞る際に化学的な薬剤を使う場合もあるから分からなくもないけど、米ぬかは米ぬか以外の何者でもないのでは?と思いましたが、

「『ご自由にどうぞ』というコイン精米機の米ぬかは誰かがいたずらして何か薬品をかけたりしているかもしれません、もしコイン精米機の米ぬかをもらうなら、カギのかかるところで所有者から化学的処理をしていませんという確認がとれるところにしてください」と言われ、そういう考え方になるのか・・・と一気に気分がどんよりしました。

「じゃあ、お米屋さんから分けてもらう米ぬかに関しても事前申請が必要ですか?お米屋さんは業者で『米ぬかだ』と提供されているんだから、何も変なことをしているわけがないですよね?」と言ったら、「お米屋さんの米ぬかも同様で、化学的処理をしていませんと一筆もらって事前申請してください。どうしても一筆もらうのが無理そうなら口頭で確認したということでもやむを得ませんが、事前申請は必要です」と言うことでした。この時が、有機JASの取得を見送ろうかと一番強く思った瞬間です。どこの認証機関でも同じ取扱なのかは分かりませんが・・・

お米屋さんの米ぬかも一度にたくさん在庫があるわけじゃないので、足りない分はコイン精米機や農家さんからもらいたいところですが、今後はそれも機動的にできなくなります。

今後、籾殻も投入したいと思っていましたが、「どこどこからもらう」と決めて一筆もらって事前申請して、それ以外は使わないようにするということになると、籾殻を投入するのをやめようかなという気になってきました。こんな感じで、すべてに機敏に動けなくなるような気がします。

ちなみに、米ぬかも籾殻も、モトになるお米は慣行栽培のものでも構わないということになっています。

・・・すべてのものについて、出どころを明らかにして書類を整えなければならないというのは理解しました。無人のコイン精米機からもらう米ぬかは化学的処理をしていませんという確認がとれないから使わないほうがいいというのも理解しました。油かすのような化学的処理によって作られている可能性があるものは事前申請が必要というのも理解しております。

でも、お米屋さんや農家さんからもらう米ぬかや籾殻まで、事前に申請してOKもらってからしか使えないというのはあまりにガチガチな気がします。どこどこからどれくらいもらった、口頭で化学的処理をしていないと確認した、と記録しておけばそれで良いのではないでしょうか

あくまで事前に申請するのは「原則として」のようなので絶対ではなさそうですが、なんか違反しているような気がして申請なしに使うのはどうしても躊躇します。

今、肥料に関しては申請していないので、肥料切れが起こったらどうしよう・・・とヒヤヒヤしています。認証機関からは「有機JASの原則の考え方はできるだけ外から持ち込まないことです。無肥料で頑張っておられる農家さんもたくさんいますよ。もしどうしても使うなら、ブレンドされた肥料は有機JASに適合していない可能性が比較的高いのでできるだけ油かすなどの単純なものを使った方がいいです、もちろんそれでも事前申請は必要です」と言われました。
まぁそりゃ無肥料が理想ですわな。でも初めて借りる圃場で無肥料で育てられる農家さんているんですかいな。あまりにもハードルが高いんじゃござんせんか?とコテコテの大阪人丸出しの反論をしておきました(心の中で)。

一度申請してOKをもらったら使うたびに申請する必要はないようですが、購入するたびにメーカー側に原材料等の変更がないか確認しなければならない、もし変更があればまた認証機関に申請してOKもらってからしか使えないとのこと。確かに万が一、使用禁止資材が混ざってしまっていた場合のリスクを考えると分からなくはないですが、もっと効率的なやり方をしないと、3者ともに疲弊するだけだと思います。認証を取らないと考える農家さんが多いのがよく分かったような気がしました。

<要望>
どの認証機関で認証をとるかに関わらず、「このリストに載っている資材は事前申請なしに使ってよい」というリストを作ってほしいです。もしくは資材に対して有機JAS規格を設ける等で、個々に事前申請する負荷、知らない間に原材料が変わっているリスクを低減させるようなしくみを作って欲しいです。
米ぬか、もみ殻など、常識的に化学的処理がなされていないと判断でき、出どころが明らかなものに関しては、事前申請せずに使って良いということにさせて欲しいです。

⑤病虫害対策が難しい(自然農薬は使えない)

これまで家庭菜園で、害虫対策として市販のニームオイルを使っていました。しかし、認証機関に質問すると、ニームは使ってはいけないということでした。理由は、前述の「有機農産物の日本農林規格『別表2農薬』」に記載されていないから、とのこと。『別表2』は有害動植物の防除を目的とする使用可能な農薬が登載されている表です。

っていうか、ニームって農薬のイメージがなかったのですが、有害動植物の防除を目的として使うものは『農薬』になるそうです。

「食酢」は別表2に記載があるため使ってよし、「木酢酢」は記載がないからダメ。
これまで「焼酎」にニンニクと唐辛子を漬けて薄めたものも使っていましたが、これもNG。「焼酎」は別表2に載っていません。

じゃあ、使ってよしの「食酢」にニンニクと唐辛子を漬けたものならどうか?ニンニクと唐辛子も自家栽培のもので化学的処理などしていないものなら大丈夫なはず、と思いましたが、これもNGだそうです。理由は、そうやって加工したものが別表2に載っていないから、です。

要は病虫害対策として使うものは別表2に記載されているものズバリじゃないとダメとのことです。また、別表2にズバリ記載されているものであっても、使う場合は念の為に一報くださいとのことでした。

もちろん、有機JASの考えとしては、自然農薬もできるだけ使わないということが大前提で、やむを得ない場合だけ使ってよし、というのは理解できます。しかし、いくつもの国際的な認証を取得されているタイのオーガニック農園で教えてもらった「食酢、にんにく、唐辛子、微生物資材、糖蜜、を混ぜて発酵させたもの」も使えないのか・・・と悩ましくなりました。

お酢単独で防虫対策ができるのかなぁ・・・ちょっと調べてみますが・・・

それにしても、一部の市販の農薬はOKなのに、「食酢+ニンニク+唐辛子」で作ったものはダメって、ちょっとバランス感がとれていないような気がします。

「食酢+ニンニク+唐辛子」なんて農薬という意識がなかったので、当然、使って良いものと思っていましたが、念の為にと思って確認したらまさかのダメという回答です。危うくうっかり使ってしまうところでした。こういうのが怖いので、余計なことはしないというスタンスで栽培していこうと思います。

<要望>
化学的処理がされていないもののみを原料とした自家製の自然農薬の使用は認めてほしいです

⑥分からないことが多いが、質問できない

例えば、水路の水を使いたいが浄水池を作るにはどのようにすれば認証が通るか、というようなことを聞こうとしても、認証機関はYESかNOで答えられる質問しか答えてはいけないことになっているそうなので「こういう風にすれば良いですよ」という答えはもらえません。

有機JASの認証機関に限らず、どの認証に関しても「認証機関はコンサルはしてはいけない」ということになっているかと思いますので仕方ないとは思います。

分からないことが多くあるけれども質問できない、ググっても一般的な野菜づくりに関することはたくさん情報があるけれども有機JASに特化した答えはほとんど得られないという状態なので、いざ認証を受ける段階になって「こういうことをしているとダメです、認証できません」となるんじゃないかというのがすごく怖いです。というか、そうなりそうな予感・・・。

私が勉強させてもらっている農家さんは、農薬や化学肥料を使わない農業をされているけれども有機JASは取る必要がないと考えておられ、認証は受けておられません。有機JASに関して聞ける人が欲しい・・・。有機JASに特化した指導者やコンサルが今後増えてくることを期待します。

<要望>
今後政府として有機農業を推進していくならば、有機JAS認証を目指す農家のためのポータルサイトを農水省主導で作る等、疑問点を解決できるしくみを設けてほしいです。

⑦費用について

費用に関しても重要な要素です。認証を受けるには費用がかかりますが、それで赤字になったら意味がないので、うちのような小規模でもちゃんとペイできるのかという不安があります。これに関しては、現段階では分からないのでまた分かってきたら書きますので今は保留にさせてください。

肥料を買わないなら、経費は意外とかからないかもしれません。

なお、講習会を受けたときに、「補助金があるので利用したら良いですよ」と雑談時に教えてもらいましたが、その後調べてもよく分からなかったので、この点についても分かり次第書きます。


以上、いろいろと意見も書きましたが、私の理解不足であれば申し訳ありません。認証機関によっても微妙に取扱が違ったりするので、すべての認証機関で同じ取扱とは限らないと思いますが、色んな意味で大変そうだと思ったので、記事にしました。

とにかくこの記事で伝えたかったのは、有機JASを考えているという方は早めに講習会を受講し、体制を整えた方がいいですということです。

私も一応認証取得を目指すと決めたけれども、調査で合格する自信はまったくありません・・・。不合格になった場合の精神的ショックに耐えられる自信もありません・・・。もし、読んでくださっている方の中でアドバイス等がありましたら、ぜひコメントをいただけると嬉しいです。

長文になりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(1万字を超えて、これまででもっとも長文の投稿になりました・・・余力があれば後日もうちょっと読みやすく修正します・・・)

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