【新規就農】命がけの初めての水路掃除

2021年5月27日

先週は大阪は警報がでる大雨が続き、大雨の翌日、また水浸しになっているんだろうなぁと覚悟して畑にいきましたが、以前(4月30日のブログ)の水浸しよりはマシでした・・・。

畑の様子

相変わらず水たまりはできていますが・・・。

翌日にはこの水たまりもなくなったので、ほっと一安心です。

さて、この大雨の翌日5月22日は水利組合の水路掃除でした。
私が借りている農地は、地代は無料で貸してもらっていますが、水利だけはこちら持ちという契約になっています。いくらするのか相場観もまったく分からなかったのですが、この水路掃除にでてくれたらそれで良いということでした。水路掃除に出席しなかったら3000円を支払うということになっています。

田植えの前の水路掃除は、就農したら必ずついてくるものと噂で聞いていたので、新米の我々夫婦からすると「遂にきたっ!」と身構えて当日を待ちました。

持ち物は、草刈用のカマと、ジョレンを持ってきてくれたらいいということでした。以前のブログで書きましたが、ジョレンがなかったらヘリ付きのクワ(谷ガキ鍬)でも良いと言われてましたが、結局ジョレンも購入。

ジョレン

これがジョレンです。穴が空いていてミゾ掃除にはモッテコイです。

夫婦のうちどちらか一人で良いということでしたが、私一人で参加しても間違いなく足手まといになるだけだと思うので、夫は絶対参加必須。私は水がどのように流れてくるのか知りたかったので足手まといにならないように気をつけながら参加しました。

私は右手にカマを、夫はジョレンを肩にかけ、歩いて集合場所に向かいました。「一揆かなんかに行くみたいやな」「一揆やったらムシロも持っていかなあかん」なんて緊張の中にもちょっと余裕を見せながら。

ところが、そんな余裕も一気に吹き飛びました。

「水路掃除」っていうより、「川の堰を開ける」作業です。前日までの大雨で川は増水して流れも早い。みなさん次々とロープをつたって川に降りていきますが、見ていてハラハラします。

板を入れて流れを少しせき止め、水路側に水が流れるようにして、水路にたまったヘドロなどをジョレンでかきとってから堰をあけます。

水路の堰を開ける様子

この車輪みたいなのが堰で、回して堰をあけると水路に水が流れていきます。

みなさんものすごく手際がよくて、無駄がひとつもなくて、プロってすごい・・・って思いました。畑でしゃべっていると「饒舌でひょうきんなおっちゃん」という感じの人がこの真剣作業の統率をされていて、この人から見ると我々夫婦はどれだけヒヨッコに見えるんだろう・・・とすごく遠い世界のように感じてしまいました。

そして、みなさん野球帽をかぶっているのに、ひとり麦わら帽子の人・・・カールおじさん?じゃなく、私の夫です。決して若くないけれど、みなさんよりは明らかに最も若い。(たぶん)期待の新人です。カールおじさん頑張って!

無事に堰が開き、水が流れ出したら、ふぅ終わった、お疲れ様でした!と帰ろうとすると、終わりじゃありませんでした。ここからは「水路掃除」です。それぞれの農地に水が流れるように、水路にたまったヘドロなどを取り除く作業です。この水路が長いのです。1キロくらい?でしょうか。さすがにそんなにないか。何かしらとにかく長い。

水路掃除に邪魔な草を草刈り機でさっさと刈る人、水路からヘドロを書き出す人、ヘドロを運ぶ人、ここでもみなさんそんなに会話を交わしているわけではないのに、自然に役割分担ができています。

水路掃除

川からの水が水路に勢いよく流れてきます。

川から水を引き、多くの田んぼを巡ってまた川に流れていく。すべてが下り坂じゃないので、途中、自然体だと水が流れないような場所もあります。そういうところは「ここは押水やねん」と教えてもらいましたが、水を貯めたうえで流れるような設計にしてあります。ピタゴラスイッチみたいですごく良く考えられてあります。

それにしても、お米を作るための大事な水路に、ペットボトルや空き缶、お菓子の袋などのポイ捨てのゴミが多くあります。ポイ捨てをする人は何にも考えずにポイッと捨てているんでしょうけれど、ゴミって誰かが拾わないとずっと残るということをちょっと想像してほしいと思います。水路の詰まりの原因にもなります。飲みさしの中身が残っているペットボトルは本当に迷惑。ポイ捨てをする人にはお米を食べてほしくないと思いました。

朝8時集合で終わったのがお昼前。もうクタクタです。(って私はほとんど何もできませんでしたが。)

昼からは、自分の畑の草刈りを(夫が)していたら、となりのおじいちゃんが「おーい、あんまり無理すんなよ、健康じゃないと何にもできへんぞー」とすごく離れているのにハッキリ聞きとれる声で言ってくれました。こういった声かけのひとつひとつがしみじみと心に染みてきます。

それにしても参加者のほとんどがそれなりのお年で、まだまだみなさんお元気ではありますが、若い人が不在の中、今後もずっとおいしいお米が食べられるんだろうか・・・と農業の高齢化を間近でみて不安になりました。2,3人ではこの水路掃除はさすがに難しいですし。

参加者にはビールが配られ、解散です。キンキンに冷やして、晩ごはんのときに呑みました。

いただいたビール

あ〜、美味しい!!

この日は農家デビューをしたというような気がして、疲れたけれど、充実感を感じる一日になりました。

と、あたかも私も大いに参加したような書きぶりですが、ほんとに私は何もできなかったです。
改めて思いますが、私ひとりだけで農業を始めていたらこのような川に入って溝を掃除するというような力仕事は難しかったと思います。参加できなければ3000円払えば良いということにはなっていますが、誰かがやらはいといけない作業ですし、やはり男性の力がありがたいです。

腰が痛い、足が痛い、肩が痛い、目がかゆい・・・と夫が言っています。うるさいなと思いつつ、感謝でいっぱいです。

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