【新規就農】初めての確定申告で四苦八苦したこと

2022年2月25日

2月中旬になり、やることが立て込んできました。

  • 今借りている農地の土壌検査の結果が出たので土壌改良する
  • 新しく借りた畑の整備と土壌検査
  • 直売所の申込み手続きが完了したので販売戦略を練る
  • 夏野菜の育苗
  • 確定申告

書きたいことがいっぱいあるんですが、完全にブログ執筆が追いついてません・・・。

何かしら就農して間も無く1年になるのでいわゆる「ハネムーン期間」は終了し、収量を上げること、および販売の方にも力を入れていきたいと考えています。(販売に力を入れないといけない状況になってきたという事情もありまして・・・)。

とりあえず確定申告を済ませてしまいたい。一部まだ数字が手元に届いてないのがあるので中断していますが、今回の確定申告は結構大変でした。

就農して初めての確定申告。前回のブログで「freee会計」を契約したことを書きました。慣れてきた今では超便利に使っていますが、最初は分からないことや迷うところも多くありました。

前回のブログでは書ききれませんでしたが、「最初からこういうことを知っておいたらスムーズだったな」「こういう設定を事前にしておけば手間が省けたな」と思うことがあります。読んでくださっている方の参考になることもあろうかと思いますので、今日はこれらの事項について書いて行きます。ややマニアックですが、どうぞお付き合いくださいませ。

農業簿記の全体像を把握する

実際にやってみるまでちゃんと考えてなかったんですが、農業簿記って特殊なんですよね。普通の簿記では使わない勘定科目を使い、種や肥料は売上原価に集計されて棚卸資産を形成するということも初めて認識しました。

簿記を結構知ってるという方でも、農業簿記が初めてならば、まずはざっと農業簿記の全体像を把握しておくと、私のようにもたもたつまずかずに済むと思います。以下の2つのマニュアルが分かりやすくて役に立ちました。(前回のブログで貼ったリンクと同じです。)

freee会計マニュアル【農業(個人事業主)の経理編:概要】

freee会計マニュアル【農業(個人事業主)の経理編:記帳】

特に、下の「記帳」のマニュアルは熟読しました。

私は数年前、不動産所得の申告用の青色申告承認申請書を税務署に提出しましたが、後日、税務署から記帳指導の講習会の案内が届きました。その講習会は個人事業を立ち上げて初めて青色申告する人向けの講習会で、大人数での講義形式と、一人一台のノートパソコンが机に置かれてて会計ソフトを使ってみるという講習でした。

その後は担当の税理士がついて定期的にマンツーマンでの記帳指導を受けるというものでしたが、私は不動産の青色申告なので記帳指導までは要らないと思い、マンツーマンの記帳指導はお断りしました。

これらの記帳指導は全て無料でしたが、まあ税務署としては正しく所得を申告してもらうためならば安い出費、先行投資というところなのでしょう。

今回農業の個人事業主となり、実質的な記帳をするのは初めてなので、今こそ税理士さんの記帳指導を受けたいと思ったのですが、なんとか自力でできるだろうと判断して、いろいろ調べながら自力でやりました(まだ途中)。

でも、自信がない方や、やってみてチンプンカンプンという方は、まずは税務署に相談してみて、ちょっと無理そうということなら税理士さんにお願いする等した方が良いと思います。適当にやると、税務調査を受けることになったり、青色申告が取り消されたりする恐れがあると聞いています。

自分でやるということの最大のメリットは、数字に強くなれるということなので、私は自分でやりたい派ですが、私もまだ完全に理解したと自信を持って言える状態ではないので、引き続き勉強しないといけないなと思っています。

新規就農の皆さんはどうしてはるんやろう・・・。素朴な疑問ですが、新規就農者向けに、農業簿記の講習会があってもいいんじゃないかと思いました。

○私が使っているfreee会計はこちらです↓

○freee会計を選んだ理由は前回のブログに記載しております・・・↓
【新規就農】開業届・経理処理・確定申告について

どの勘定科目を使うか決める

私が意外に時間が取られたのは、どの勘定科目を使うかで迷ったことです。freee会計では農業用の勘定科目をインストールして設定できるため、与えられた選択肢の中から選ぶだけなのですが、結構迷いました。

次のようなものは分かりやすくて、迷う余地がなく、さくさく登録できます。

○迷う余地がないもの(スッキリ!)↓

買ったもの勘定科目小分類
(勘定科目を選ぶと自動セット)
タネ種苗費売上原価
種苗費売上原価
油カス肥料費売上原価
クワ、レーキ農具費経費
作業着作業用衣料費経費
耕運機や草刈機のガソリン動力光熱費経費

迷ったのは、次のようなものです。

○迷ったもの(深みにハマる)↓

買ったもの勘定科目小分類迷った点
育苗用セルトレイ
(使い捨て前提)
諸材料費?
農具費?
「諸材料費」なら売上原価
「農具費」なら経費
使い捨てなら売上原価に入れたいので諸材料費かなあ?
育苗箱諸材料費?
農具費?
上と同じ使い捨てじゃないから農具費かなあ?
車のガソリン動力光熱費?
旅費交通費?
経費耕運機のガソリンは動力光熱費だから合わせるべき?
耕運機用のグリス消耗品費?修繕費?
雑費?
経費「消耗品費」を使おうとしても選択できず、そうすると修繕費か雑費かな・・・
タキイ友の会の年会費どの勘定科目や??
このホームページのサーバーやドメイン代広告宣伝費?支払手数料?
いや、このホームページはそもそも宣伝になってないから経費にしたらあかん??

育苗用セルトレイのように、勘定科目の選択によって「売上原価」になるか「経費」になるかが変わってくるのもあり、すごく迷いました・・・。「農業簿記 勘定科目」でググってみたりしましたが、サイトによって書かれていることが大きく違ったりして深みにハマっていき、どんどん時間が過ぎていく感じ・・・。(いや、そもそも一年分を一気にしようとすることに無理があるんですが。)

私は税理士じゃないので答えを書くことは控えさせていただきますが、調べたところによると、絶対にこの勘定科目を使わないいけないというのもあれば、どっちでもいいというフワッとしたものあるとのこと。ただ、このフワッとしたものでも一度選択した勘定科目は、今後同様の支出の場合は同じのを使わないといけないということです。こういう次もまた迷いそうだなというのはfreee会計の機能の「取引テンプレート」に登録して、同じものが出てきた時に迷わず使えるように設定しておきました。

「消耗品費」がしっくりくるのに選ばれへん!というようなのは、自分で勘定科目を追加することもできますが訳がわからなりそうなので、自分で追加することは控えて、一覧にあるものから選ぶようにしました。

また、「雑費」は便利な勘定科目ですが、何でもかんでも雑費に入れてしまうと、いい加減な印象を与えて万一税務調査になったときに心象が良くないとYouTubeで見ましたので、できるだけ「雑費」は使わないようにしました。

freee会計のマニュアルに、農業用勘定科目の考え方の詳しいものがあれば助かるのになぁと思いました。

データ連携を使いこなす

クラウド会計を使って「超便利!」と思ったのがこのデータ連携機能です。クレジットカードの明細や、ネットショッピングの購入履歴、銀行など対応している業者のものならデータを取り込むことができます。費用のデータだけではなくて、ネットストアでの売り上げデータなども取り込めるようです。

私は最近、JA直轄の直売所への出荷申込みをしたのですが、売上金の振込先は農協の口座しか指定できなくてやむなく農協の口座を振込先に指定したのですが、農協の口座もfreeeと連携できるようになっていて、売上データをそのまま取り込めるようになります。これはすごく楽と思います(出荷はこれからなのでまだ使ってません)。農協の口座はプライベートでは使わないようにして、諸々の支払いのデータもそのまま取り込めば、とても便利に使えそうです。

今後、自分の畑で直売というのも考えていますが、キャッシュレス決済を導入するとそのデータも取り込めます。

このデータ連携機能って「まあそんなに件数ないし、手動で入力してもそんなに手間は変わらへんかな」と思っていましたが、使ってみるともう超便利でして・・・。何が良いかというと、自動で同期して「未処理データ1件」とスマホにプッシュ通知がくるので、取引入力のトリガーになってくれるのがすごく良いです。

私がよく使うコーナンPAYは今のところデータ連携対象外で、手動で入力しないといけず、今や手動ではちょっと面倒だなと思ってしまいます。今後新たにデータ連携の対象業者となってくれることを期待します。(ちなみにコーナンで購入したものは、レシートのOCR読み取り機能を使うので完全なハンド入力ではないですが、やはりデータ連携の便利さには敵わないです。)

と、べた褒めのデータ連携機能ですが、使い始めた当初は苦戦しました・・・。

苦戦した理由①プライベートなものが混ざっている

Amazonの購入データをfreee会計に取り込むことができ、同期すると、日付や金額、何を買ったかの取引内容がプリセットされて「未処理」として表示された状態になります。この未処理のものを1件ずつ勘定科目を入力したり領収書を添付したりという入力を行なっていきます。(予めルールを設定しておけば自動登録もできる仕様にはなっています。)

Amazonではプライベートな買い物もするので、プライベートのは「無視」として処理すればいいけれど、悩んだのは、1回の注文でプライベートのと事業用のが混ざっているもの。どうしたらいいのか分からず、これでものすごく時間が取られました。

例えば、1回の注文でクワ3,000円と朝食用のフルグラを2,000円を同時に注文した場合、クワ3,000円だけ登録して2,000円は無視したいのにできない仕様になっています。こういう場合、プライベートのは「事業主貸」勘定を使って処理すると分かりました。仕訳はこのようになります↓

借方貸方
農具費 3,000
事業主貸 2,000
amazon 5,000

いやいや、フルグラは事業用の資金を使って買ったんじゃないねん、完全に無視したいねん、合計金額を3,000円に修正したいねん、と思ったけれども、freeeでは、Amazonも銀行口座などと同じように「口座」と見立てるので、合計金額は修正できず、このような処理が正しい取引入力になるようです。

というわけで、Amazonの自動連携は今回全て無視して、全て手動で登録しました。

これは・・・せっかく便利な機能なのに使えないのは勿体無い、Amazonのアカウントをプライベートと事業用とを分けられたらいいのに・・・と思っていたら、Amazonビジネスというのがあることを知り、さっそく登録することにしました

Amazonビジネスは登録には審査があり、「3営業日以内に回答します」となっていますが、私の場合は数分で承諾メールが届きました。これでfreeeのAmazonとのデータ連携をとても快適に使えるようになりました。何とも便利な世の中になったものです。

こちらがAmazonビジネスです↓

苦戦した理由②Amazonのとクレジットカードのが重複する

前述のように、freeeではAmazonは口座と見なすので、Amazonで購入した商品はAmazonのデータ連携によって次のような「未処理」データが作られます。

借方貸方
(空白) 1,980amazon 1,980

この未処理データの取引登録を済ませると、「Amazon勘定」の残高は-1,980円となります。

そしてAmazonの商品は基本はクレジットカードで払うので、クレジットカード会社のデータ連携によって、次のような「未処理」データが作られます。

借方貸方
(空白) 1,980○○カード 1,980

この未処理データの取引登録を済ませると、「○○カード勘定」の残高は-1,980円となります。って、重複してるやんっ!

これは、一方を「無視」として処理するのだろうか・・・いやいや、せっかくデータ連携しているのに無視ってそんなナンセンスなことさせる??ということで、悩みました。

そして、カード会社からのデータは取引登録をするのではなく、「口座振替」として処理するとうまくいくことが分かりました。

借方貸方
amazon 1,980○○カード 1,980

これによって、Amazonの残高は0円になり、カードの残高が-1,980円になります。あぁ、簿記って美しい!

ちなみにこの点を解決するのにすごく時間がかかってしまいましたが、後で気づけばマニュアルに書いてありました・・・。詳しく知りたい方はこちらをお読みくださいませ。↓

freeeヘルプセンター Amazon – 購入履歴を取り込む


他にもまだまだ迷いながら解決したところはあるのですが、誰も読んでくれなさそうなのでこのくらいにしておきます。

freee会計は、いろいろな会社とデータ連携ができるようになっていて、農業関連では「agrion」とも連携ができるようになっているようです。私はagrionは試しに使ってみた程度でよく知らないのですが、このように今後さらに便利な機能がいろいろ追加されるのかなと思うと楽しみです。

使える便利なものは多少お金がかかっても取り入れて、農作業と販売に力を注ぎたい。家族農業は自分で全部やらないといけないからなかなか忙しいです。

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