【新規就農】開業届・経理処理・確定申告について

※「次回は水について書く」と予告しましたが、表記の記事を挟ませてください。

2021年に新規就農して、今回初めて確定申告を迎えます。やらなきゃやらなきゃ・・・と思っていましたが、月額費用をケチって1月下旬になってからクラウド会計を導入した私は、ここ二週間ほど夏休みの宿題を溜めた小学生状態になっていました・・・。ブログの更新も滞り・・・クラウド会計と格闘した二週間でした・・・。

まあでもその結果、これはなかなか良い!と分かってきまして、今後もこの方法で経理処理をしていこうと決めましたので、ここでご紹介させていただきます。新規就農のみなさんはどんなやり方をされているんだろうと素朴な疑問ではありますが、もし新規就農の方で会計処理をどうするか迷っている方がいらっしゃれば、参考にしていただければ嬉しいです。

<目次>

  1. 開業届について
    • 2021年3月に開業届を税務署に提出しました
    • 開業届を出すタイミングは難しい
    • 開業届に作成方法
  2. 日々の記帳をどの方法でするか
    • 自分で数字を管理したい→クラウド会計!
    • なぜ「freee会計」を選んだか
    • freee会計の「スタンダードプラン」を契約
    • 確定申告の時期に契約するといろいろキャンペーンが!
  3. freee会計の嬉しいポイント
    • 農業ならではの勘定科目をインストールできる
    • OCR読取やデータ連携機能が超便利!
    • 電子帳簿保存法に対応している
    • 不動産所得も一緒にできる
    • 自分以外に2人を招待できる
    • さまざまなレポート、集計が一瞬!

1.開業届について

2021年3月に開業届を税務署に提出しました

日々の経理処理の前に、まずは開業届についてです。

2021年2月に農地を借りることができる見通しが立ったので、さあいよいよ就農だ、お日柄の良い日に開業届を出そうと考え、一粒万倍日と天赦日が重なる最強の開運日を待って、税務署に開業届(と青色申告承認申請所)を提出しました。税務署の前には桜の花が咲きほこっていて、新入生のような気持ちになったものです。その時撮った写真↓

郵送でもできますが、私にとって重要なイベントだったので、持って行って提出しました。

開業届を出すタイミングは難しい

自給自足的な野菜作りじゃなくてちゃんと「農業」をするならば、毎年農業所得の確定申告をするというのは絶対必要だから!と、割と早めに開業届を出したのですが、もうちょっと遅くに提出しても良かったかなと今になって思っています。具体的には、売り上げが上がる見通しが立ってからでも良かったなと思います。

というのは、開業日までの費用は「開業費」という繰延資産にでき、翌年以降に少しずつ費用化できると後で知ったからです。

「開業費」に計上できるものは条件があって、開業前にかかった全ての費用が開業費にできるわけではありませんので、大した金額ではなく、まあいいかという範囲ですが、知っていたらもうちょっと遅くに出したかなと思います。

でも、私の場合は黒字の不動産所得があるので、農業所得(事業所得)の赤字と相殺すると節税になるので、2021年中には開業届を出し、両方の所得の損益通算して確定申告するというのは絶対やろうと思っていました。(損益通算も全ての所得でできるわけではなくて、損益通算できる所得は「ふ・じ・さん・じょう」で暗記するというのは試験対策で有名な話です!)

稼ぐ前提で就農しているので、どこかのタイミングで開業届を出し、稼いだ分は確定申告をして税金を納めないといけないですが、どのタイミングで開業届を出すかは判断が難しいですよね。

農業を始めたばかりの時はほとんどの人はほぼ赤字で、赤字なら確定申告は不要なので開業届も黒字になってから出せばいいかと思うけれども、私のように赤字でも確定申告した方が良いケースもあり、知っているかどうかで大きな金額の差になります(赤字でも確定申告した方がいいケースは、「確定申告 赤字」で検索すると色々出てきます)。

一方で、副業禁止の会社員の人が開業届を出すことで副業がバレたり、会社によっては配偶者が開業届を出すことで扶養から外されてしまうとも聞いたことがありますので、開業届をどのタイミングで出すかは個々人によって慎重に判断が必要かと思います。

こういうのを相談できる詳しい人が身近にいるといいなぁと思います。あんまりこの辺りのことって聞かないのでみなさんどうしてのかな、と素朴に疑問です。(ちなみに、農業指導員に開業届はどうしたらいいですかと相談したら、そんなことは気にしなくていいと言われました。)

もうちょっと遅くに出したら良かったなと思う開業届ですが、開業届を出しておくと「ビジネスアカウント」系のものがゲットしやすくなるなど他のメリットもあります

何よりも一番のメリットは、農業を始めたんだと自分の意識が変わることかもしれません。

開業届の作成方法

国税庁のホームページにフォーマットがあります。

○国税庁のホームページ
個人事業の開業・廃業等届出書

これを印刷して手書きで記入するというのもできますが、今時手書きってどうなんと思いまして、私はクラウド会計の「freee開業」を利用して作成しました。開業に関しては、完全に無料でできます。

「freee開業」のサイトを見る

今やほとんどの人は「開業届」と同時に「青色申告承認申請書」も作成し、同時に税務署へ提出すると思います。「freee開業」のサイトでは、質問に答える形で入力していくと開業届と青色申告承認申請書が出来上がりますので、本当に簡単でした。

2.日々の記帳をどの方法でするか

自分で数字を管理したい→クラウド会計!

就農したらクラウド会計を導入しよう、と以前から考えていました。

まず、手書きの帳簿というのは選択肢としてありませんでした。手書きの帳簿は結構知識が必要ですし、手間がかかり、計算ミスなどがあっても原因追求が大変です。経理出身ですというような人はエクセルを自分で組んで管理するというのもできるかもしれませんが、私はそこまで自信がないですし、バックアップも自分できちんとやらないと消えてしまうリスクが怖いです。

税理士さんと契約して全て税理士さんにお任せするという方法もありますが、領収書を送ったりする手間もありますし、費用も高くつくし、どうしても数字を自分で把握しにくくなってしまいます。親戚一族で昔から土地財産を管理してもらっていて不動産売買や相続税など全て見てもらっている場合などは税理士さんにお任せするのがいいのかなと思いますが、私みたいな小娘(?)が小さな農業を開業したくらいでは税理士さんに頼むのはもったいないです。

以前通っていた会計の専門学校の先生が「優れた経営者は税金のことにものすごく詳しい」と話していました。自分で数字を管理して、数字に強くなりたい、そのためには自分で楽に管理できてバックアップの心配も要らず、いつも数字が手元にあるという状態を作りたい、それには多少費用が掛かってもクラウド会計が一番だと考えました。

なぜ「freee会計」を選んだか

クラウド会計もいくつかあるけれどもどれにしようか・・・と迷うところですが、実はそんな迷いは私にはなく、クラウド会計をやるなら絶対「freee会計」だと元から決めていました。その理由はこの動画です↓

瀬戸弘司さんのユーチューブです。いわゆる「案件」ってやつで、freee会計のプロモーション動画です。瀬戸弘司さんの動画は以前からチャンネル登録していて時々見ていたのですが、このfreeeのプロモーションはもう最高に面白くて、あー最近笑ってないなという時にこの動画を見て笑って元気をもらってます。もう余裕で30回くらいは見てます。

クラウド会計を導入するなら絶対freeeや、freee以外はありえへん、と思うようになりました。

本来、こういう記事には他社との比較なども書くのでしょうけど、他社は全く見てないです。こんな決め方ですみません・・・。

freee会計の「スタンダードプラン」を契約

こんな安易な感じでfreeeにしようと決めたのですが、一応事前に確認した点はあります。

それは、農業所得の申告に対応しているかどうかと、私の場合は「農業所得+不動産所得」に対応しているかということ。現時点では農業以外の他の事業所得があるケースには対応してなさそうなので、自分のやりたい申告に対応しているかどうかは事前に確認しておいた方が良いと思います。30日間の無料お試し期間があるので、有料プランを契約する前に使ってみて見極めると良いです

さて、freeeを導入しようと決めたものの、30日の無料お試し期間の後は月額もしくは年額の使用料が必要になります。無料プランというのもあるけれども、機能がかなり制限されています。

私は、早くから契約すると勿体無いと変なところでケチり、確定申告が近づいてから契約して1年分の経費を一気に入力してしまおうと考えて、1月下旬に有料プランを契約しました。(30日間の無料お試し期間に全て終わらせてしまうという手もありますが、私は5月頃にお試し期間を早々に使ってしまい、その後ほったらかしにした状態で放置してました・・・。)

料金プランは、お手軽料金の「スタータープラン」と、それよりお高めの「スタンダードプラン」がありますが、「スタータープラン」では月5枚までしかレシート写真が撮れないので、一年分を一気に入力するには必然的に「スタンダードプラン」になります・・・。今回の確定申告だけでなく、今後も日々の記帳に使いたいので、年額の契約にして、スタンダードプラン26000円程をお支払いしました。

ちょっと高いかなと迷いながら契約しましたが、使ってみて納得、これで26000円なら十分「値打ちある」と思います。(大阪人の「値打ちある」は本当に「値打ちある」なのです。)

他のクラウド会計と比較した感想は分からないですし、使い始めた当初は操作に戸惑うことも多くありましたが、二週間くらいがっつり使って、すごく考えて作られてるなと感じています。

ただ、「簿記の知識がなくてもOK」とされていますが、多少は簿記の知識は要るんじゃないかと思います。「借方貸方が分からない」という感じの全く簿記のことを知らない人は、2、3時間くらい簿記の本を読んで知識を入れておくとスムーズにできると思います。

会計freeeの案内ページを見る

確定申告の時期に契約すると色々キャンペーンが!

1月下旬に契約して、さあ一気にやってしまおう!と意気込みましたが・・・一気にやるのはおすすめしません・・・なかなか大変でした。

何が大変か・・・入力自体は簡便な入力の仕組みが色々と用意されているので集中してやるとそんなに時間はかかりませんが、環境を整える諸々のセッティング作業や、使い始めるとやはり疑問点にぶつかったりしてなかなかに時間がとられます。

疑問点にぶつかった場合、スタンダードプランにはチャットで質問できる機能がありますが、混み合っていてなかなかつながりません。これは季節なので仕方がないですね・・・。

料金をケチらず、もっと早くから契約すれば良かったかな・・・と後悔しましたが、ただ、確定申告の時期は諸々のキャンペーンが設けられていたりして、この時期まで待って契約するメリットもなきにしもあらずです

○こんな感じ↓
freee確定申告まつり(2022/2/1~2022/3/15)

他にも、期間限定で「Amazonビジネスとfreeeを連携すればクーポンプレゼント」などもあります。ちょっと全容を把握できておらず恐縮ですが、確定申告が近づいているこの時期に契約すると色々とお得かもしれません。

Amazonビジネスとfreee 会計連携キャンペーン(2022/1/24~2022/3/10)

でも、やはり余裕を持って日々コツコツと記帳していくのが一番かな・・・。

3.freee会計の嬉しいポイント

農業ならではの勘定科目をインストールできる

農業簿記って、例えば、「種苗費」「肥料費」「農具費」など独特の勘定科目を使いますが、この独特の農業用勘定科目をセッティングできるようになっています。初期設定の状態では使えないので、ダウンロードしてインストールするという作業は必要ですが、マニュアル通りにやれば簡単にできました。

○こちらのマニュアル内からダウンロードで来ます↓
freee会計マニュアル【農業(個人事業主)の経理編:概要】

そして、次のマニュアルにもざっと目を通しました。

◯日々の記帳方法マニュアル↓
freee会計マニュアル【農業(個人事業主)の経理編:記帳】

ここには知らなかったらヤバかった!ということも書かれてありました。

例えば、収穫物を自家消費したり人にあげたとき、現金をもらっていなくても「売上」を計上しないといけないとか。これは知らなかったので読んでおいて良かったです。税務署が注目するのは、「売上の過少申告」と「経費の過大申告」なので、売上が抜け落ちているとヤバかったです。と言っても税務署が目をつけるのは儲かってそうな会社なので、うちみたいな絶対赤字のようなところは目もくれないでしょうけど。

棚卸作業や決算の振替伝票はまだ手をつけていないので、これからやります。

こういう農業向けの仕組みが充実しているということは、freeeを使っている農家さんが多いのかな?これからもっと機能が充実することを期待します。

OCR読み取りやデータ連携機能が超便利!

freeeはスマホ向けのアプリもあるので、こちらもインストールしました。

このアプリからレシートの写真を撮ると、日付や金額をOCR読み取りをしてくれ、勘定科目も推測したものがセットされるので、入力がかなり楽です。もちろんクラウド会計なので、スマホで入力したものはパソコン側のfreeeにも即時反映されます。

また、Amazonでの購入履歴や、クレジットカードの使用履歴、銀行など、色々な企業間でデータ連携できるのが超便利です。このデータ連携機能、初めて使った時は、私用分も大量に混ざっていてそれの消し込み作業をどうやったらいいか分からなかったり、Amazonで購入したのもクレジットカードで払うので、Amazonのデータとクレジットカードのデータが重複していたりしてこういう場合はどうしたらいいんだろうと割と戸惑うこともありましたが、一つ一つ問題点を解決していった後は、なんて便利なんだろう!と感動しました。

今は、購入のデータがほとんどですが(泣)、今後は売上のデータも増えてくる予定(!)なので、また便利さに感動するかもしれません。

電子帳簿保存法に対応している

思えば二週間前の私は、2022年1月に改正された電子帳簿保存法なんて全く知らなくて、「Amazonなどで購入したものの領収書はAmazonの注文履歴からいつでも見れるし、放っておいたらいいか」「気が向いたら印刷してレシートと一緒に保管しとこうかな」と考えていました。

念の為に、みなさんどうやってAmazonの領収書を管理してるんだろうと調べてみると、結構重要なマターだと知りました。無知って怖い・・・。

2022年1月改正の電子帳簿保存法では、ECサイトで購入したものの領収書は、紙での保存がむしろ禁止になっていて、定められた方法で電子の状態で保存しないといけないようです。

こちらの山田真哉さんのYouTubeがとても分かりやすかったです↓

freeeはこの電子帳簿保存法にも対応しているので、安心して使えます

電子保存するには事務規定も作らないといけないようですが、雛形が用意されていたので、ダウンロードして簡単に作っておきました。雛形や詳しい説明はこちらに記載されています↓

freee会計 電子帳簿保存法の概要・手続きについて

不動産所得も一緒にできる

私は不動産所得があり、これまでの確定申告は、エクセルで金額を集計し、国税庁のホームページの確定申告コーナーで申告書類を作っていました

せっかくなので、エクセルで管理している不動産のデータも今後は農業の記帳と合わせてクラウド会計でやりたい・・・こういうのもfreeeは対応していました。「不動産所得も申告する」という設定をすれば、頭に[不]とついた勘定科目が使える仕組みになっていて、農業分と決算書が別々に集計されます。これは便利!

そして、以前、泣きそうになりながら電卓で計算した減価償却の計算も一瞬でできました。

自分以外に2人を招待できる

私が契約したスタンダードプランでは、3人まで使用できるようになっています。(それ以上の枠が必要な場合は枠を購入すれば出来るようです。)

この機能は何気に嬉しいです。

まずは夫を招待してスマホにアプリをインストールさせ、自分のレシートは自分で入力して!と教えておきました。

また、クラウド会計は帳簿が手元にないので、もし私が急に死んだらfreeeで経理処理していたことすら分からないかもしれないと不安です。いざというときのために、信頼できる人をもう一人招待しておこうかなと考えています。

さまざまなレポート、集計が一瞬

これはfreeeに限った話ではないでしょうけど、総勘定元帳、試算表、貸借対照表、損益計算書、など、一瞬で見たい数字の集計が見れます。

取引先ごとの費用集計、月次の推移、なんでもござれ。耕運機の減価償却の計算、車のガソリンの家事按分も電卓叩いて計算する必要なし!

そして、めちゃくちゃコーナンの売り上げに貢献していたことがわかりました・・・。数字が見える化ができると行動も変えることができそうです。


今は棚卸しのところで止まっているのでまだ確定申告書類の作成機能までは使えていませんが、ここまで機能が充実していたら楽にできそうな予感です。また、今の所は販売系の機能を全く使っていないのですが、請求書や納品書の作成などもできるようです。

今回は、freee会計を使ってみてとても良かったので、ざっくり概要を書きました。

次回は、勘定科目など、もうちょっと深掘りした内容を書きたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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