土壌検査の結果を受けて

就農して丸1年が経とうとしています。

これまでのブログでも書いてきましたが、収量が安定しないので、このままではいけないと思い、土壌検査を受けることにしました。いや、本当は最初からやらなきゃ行けないと思いながらも伸ばし伸ばしにしてしまったというのが正直なところです。

この土壌検査の結果がちょうど出る頃、新たに農地をお借りすることになったので、この新たな農地についても検査を受けました。

今日は、この2箇所の土壌検査の結果と対応について書きます。

どこで土壌検査を受けたか

結果の前に、どこで土壌検査を受けたか、です。みなさんどういうところで検査受けてはるんやろかと思いながら、とりあえず今回は地元JAの営農センターで検査してもらいました。(もしこれを読んでいる方でお勧めのところがあれば教えてください!)

JAの正組合員じゃなくてもOKでした・・・

ちょっと話が回りくどくなりますが、「JAの正組合員」についてこれまで書く機会がなかったのでここで書きたいと思います。各JAによって取り扱いが異なると思うのであくまで参考程度になりますが・・・

1年前、農地をお借りすることになって市役所に行った時に、JAで土壌検査が受けられると聞きました。次のような感じです。

「JAの正組合員になったら土壌検査も無料でしてもらえるからなっておくといいよ。JAで預金通帳を持ってる人って多いけどそれだけなら準組合員で、正組合員には農家しかなられへんねん。出資金は必要だけど、貯金みたいなもので配当金もあるし。確か500m2以上を耕作していたら正組合員になれたはず・・・確認してあげるからちょっと待っててね」

両親の実家も含めて実家が農家でない私は、農協に正組合員というのがあるということすら知りませんでした。こんなことからイチイチ新鮮に感じる新規就農者の私。

「JAに聞いてみたら、やっぱり500m2以上を耕作していたら正組合員になれるって。農業委員会の許可が降りたらその許可書を持ってJAの支所に行けば手続きしてくれるよ。」

と教えてもらいました。ちなみにこの方は兼業農家さんらしく、この日も朝に農作業をしてから市役所に出勤したとおっしゃってました。「専業農家じゃ食べていくのはなかなかしんどいからなぁ」と話してくださり、一気に不安になった新規就農者の私。

約2ヶ月後、農業委員会の許可が降り、教わった通り許可書を持って正組合員の手続きをするためにJAに行きました。すると、確かに500m2以上で正組合員になる資格はあるけれども、出資金が1口以上必要(1口10万円)、さらに普通預金100万円以上必要、ということでした・・・なんと!

以前、この雑誌の一番下の緑の文字のところを読んでいた私は多少躊躇しましたが、とりあえず新規口座開設をして他の銀行から預金を移し、正組合員になる手続きをしました。

でも、後で知ったのですが、正組合員じゃなくても無料で土壌検査は受けられました・・・。

「それなら、正組合員の特典って何ですか?」とJAの人に聞いたら、「融資を受けたりするのにはいいかな。あと、毎月会報が送られてくる」ということでした。・・・あちゃー、という昭和なセリフを久しぶりに呟きました。

まあでも、先日、JAが運営している直売所の申込をした際、売上金の振込先はJAの口座に限られていたので、口座開設はしておいて良かったと思います。あと、送られてくる会報の表紙が可愛くて癒されるということも。。。

JAの土壌検査は遅い?

土壌検査ってすぐに結果が欲しいのにJAのは遅い、だから別の業者に頼む、と聞いたことがあります。うちの地元のところは、随時受付しているけれども、検査に出すのは月1回まとめて出すそうで、タイミングによってはひと月以上待たないといけない一方、早ければ一週間以内で結果が出ます。実際、最初のは約ひと月待ち、次のは一週間で結果が出ました。

最初に借りた農地の土壌検査の結果

健康診断の結果を人に見せるみたいで何となく恥ずかしいですが、こんな結果です。

pHが異常値・・・

これまで「畑のカルシウム」というのは多少入れましたが、苦土石灰は全く入れてません・・・。スギナも生えているので、そこまでpHが高い土壌とは思えないし、カリも比較的高めの数値になっていることから、サンプルに籾殻くん炭の塊が入ってしまったのかもしれません。サンプルをとる時、マニュアル通りに5箇所から満遍なく採ったつもりでしたが・・・

窒素少なすぎ

最近、窒素過多の話をよく耳にするので、油粕を少なめに与えていましたが、少なすぎたか・・・。でも、長期間かけてゆっくり成長した小松菜は本当に美味しかったです。

いやでもこんなことしてたらさすがに「農業」にはならないので、1月に仕込んだボカシ肥が完成したら、これを積極的に使っていこうと思います。

リン酸も少ない

土壌検査の結果を教えてくれる担当の人が、「ようりんを入れたらいい」と教えてくれました。うちは、ゆくゆく有機ジャスを取りたいという意志を伝えていたので、「有機ジャス適合のようりんがあります」と教えてくれて、それを購入しました。

ちなみに、この営農センターには巨大な資材倉庫があり、土壌検査の結果を受けてすぐに資材が購入できるようになっています。土壌検査が無料というのはこういうところで帳尻が合うようになってるんかとブラックな私が出てきましたが、便利は便利です。

しかし、いざ圃場に戻って購入した「ようりん」を投入しようとすると、袋に「これは有機JAS適合ではありません」と記載されていました。すぐに営農センターに問い合わせをし「すみません」と謝っておられ、返品することになりましたが、危なかった。

本当に有機JASを取るならば、去年受講した講習会では「あらかじめ、資材メーカーから適合証明書を取り寄せて、自分で原材料や製造過程を確認し、認証機関でも確認して初めて使用可能」ということだったので、これをすっ飛ばしている私が悪いんですが、怖いなと思いました。

そして、米ヌカをとにかく多く投入していくことと、やはり1月に仕込んだボカシ肥(魚かす入り)で対応することにしました。

石灰と苦土も少ない

本来「自然農」では石灰は使わないようですが、今回は明らかに石灰と苦土の数値が低くて改善しないといけない状況にあるため、資材を投入することにしました。

有機農業されている方は「かきがら石灰」を使っておられる方が多いように思いますが、今回は明らかに「苦土」も足りないので、石灰と苦土の両方を補えるこちらの資材を購入しました。上記と同じ営農センターの巨大倉庫で購入。

これは有機JAS適合で間違いないとのこと。(くどいですが、本来は自分できちんと確認しないといけないところですがすっ飛ばしてます。)

腐食はバッチリ!

この腐食っていまいちよく理解していないのですが、1年間、雑草などを持ち出すことなく土に返してきた効果があったのか、数値的には問題ありませんでした。よく「AGフミン」などの腐食酸の資材を耳にしますが、足りない場合はこういうのを投入するのかな・・・すみません、また勉強しておきます。

新しく借りた農地の土壌検査の結果

ここは、ベテラン農家さんがキレイに雑草の管理などをされてきた農地ですが、ほとんど使っていなかったと聞いています。今回貸していただく際も、文字通り「草ひとつない」状態にきれいにして引き渡してくださいました。

結果はこんな感じ。

円がちっちゃ!

長年使ってない農地はこんな感じになるんだなと知りました。この土壌検査を受けてなければ、各成分が全く足りていないことを認識せず「夏野菜がなぜか育たないなぁ」なんてことになっていたかもしれません。ホントに検査を受けて良かったです。

そして、過多状態だと対応が難しいので、多いよりも少ない方が断然良いです。

こちらは、次の一式を投入しました。

・上記の苦土セルカ
・籾殻くんたん
・油カス
・米ヌカ

籾殻くんたんは、自作の分がもうあまりないので、同じく営農センターで買いました。量が書かれていないのですが、かなりでかいです。100リットルくらいでしょうか??これで1600円でした。

油カスは、コーナンで購入。有機JAS適合と表示があるものです。(こちらも本来やるべき適合確認はすっ飛ばしています。)

米ヌカは、これまで近くのお米屋さんから購入していたのですが(10キロ300円)、お米を買わないと米ヌカを売ってもらえないのと、売ってもらえても全然足らないので、コイン精米所で調達しました。コイン精米所で調達するのは、有機JASの認証を取るならばNG行為だと認証機関から教わりましたので、他のお米やさんを当たったり、ネットで購入することも考えましたが、時間もお金も有限なので、今はしっかり土づくりをする方を優先したいと考え、コイン精米所から調達しました。

ここでは夏野菜をメインでやるので、ボカシ肥を追肥として様子を見ながら与えていく予定です。なお、堆肥は入れてません。

自然農って?無肥料栽培って?

こんな感じで、作業をしていくと、「自然農って何やろか」「無肥料栽培って?」というのがよく分からなくなってきました。自然農は外部から資材を投入しないというような定義?無肥料って、米ヌカ、油カスも入れないの??とか・・・。

土は何年もかけてじっくり育てていくものだというのは分かっていますが、それまでさすがに外部から何も投入しないというのは、難しい。きちんと収量を確保して、販売して、というサイクルを繰り返し、農家自体が持続可能じゃないと、持続可能な農業はできない・・・そんな風に最近は思っています。

SNS上で、「それは自然農じゃない!」というような論争を時々見かけるので、うちのスタイルを見て「それは自然農じゃない!」と言われてしまうかもしれません。「自然農」という規格はないので、こういった論争になるのでしょうけど、今後は「自然農」という言葉を積極的に使わないようにした方がいいかなと思っています。

環境にも負荷をかけず、堂々と胸を張ってどういう資材を使っているかを開示し、美味しくて安心して食べてもらえる野菜を作ればそれでいい、と思いますが、所詮「自称」になってしまうのが辛いところです。

有機JASを目指すのは当分先になるので、エコ農産物認証とか、最近よく聞くGAPとか、色々探ってみようと思います。

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